茨城県常陸大宮市の熊の山に登ってきた(2025/1/26)
● 今回登った山
熊の山(くまのやま・くまのさん)標高300m
茨城県常陸大宮市山方にある熊の山。奥久慈エリアの玄関口にあたる場所にあり、すぐ近くに流れる久慈川を挟んだ向こう側に盛金富士がある。標高300mの小さな山なのだが、そのポテンシャルはとても高い。
まず、景観が素晴らしい。水郡線・下小川駅から歩いて登山口に向かうと、途中で久慈川を渡るのだが、その優雅な流れと周辺の長閑な景色にうっとりさせられる。登山口に向かう途中には民家がポツポツとあって、その地域の暮らしぶりが垣間見える。尾根道は落葉樹に囲まれていて、冬の時期に登るととても気持ちが良い。山頂付近は杉林になっていて、打って変わってしっとりとした感じ。山頂は周囲がすっきりしているので、近隣の奥久慈の山々を見渡せて、これまた気持ちが良い。
登山道は平山橋側から登ると、アップダウンがちょっとあって登り甲斐もある。登山者があまりいなくて(私が登った時は私たち以外に一人しか見かけなかった)、山を独占した感じもまた良かった。物足りなければ、隣の盛金富士への縦走も可能。
熊の山のみの登山ならば、3時間あればお釣りがくる。水戸あたりに住んでいるならば、前泊しなくても早起きしなくてもOKというのもうれしい。家族でふらっと山登りを楽しむのにぴったりの山。
● 熊の山・登山のあしあと(時間はおおよそ)
10:30 水郡線・下小川駅 出発
平山橋から国道を渡って看板に従い登山道へ
12:00 熊の山 山頂 (途中何度か休憩)
12:00~12:45 お昼休憩
下山・山を下りた後は下小川橋を渡って駅へ向かう
13:45 水郡線・下小川駅 ゴール
☆ おすすめの山の本 ☆
芥川賞受賞の山文学「バリ山行」!著者の松永さんは水戸市生まれ!





〇【熊の山・登山コラム】
晴天の空に少しだけ流れる雲、奥久慈の山々に流れる空気、清らかに流れる久慈川、山里にゆったりと流れる時間。それらの「流れ」の中を、ふらりふらりと家族で歩く。
何と、気持ちが良いのだろう。私は休日に家族で山登りをして過ごす時間を、満喫していた。
「何で笑ってるの?」
妻にそう言われて、自分が笑っているのに気づく。あまりの気持ちよさに顔がほころんでいたようだ。
熊の山に登るのは、今回で2回目だった。以前に登ったのは、10年くらい前のことなので、その時のことはほとんど覚えていない。もちろん、道もまったく覚えていないから、登山ガイドブックを片手に持って歩いた。
「久しぶりに山登りにいこうよ」
年が明けて2025年になって、ふと山に登りたくなった。「いいよ」と家族の承諾を得たのはいいが、さてどこに登ろうか。うちの家族は長男をのぞいて体力に自信がない人ばかり。かくいう私も最近はまるで山に登っていないし、仕事は事務仕事ばかり。ジムにも行ってないし普段から歩くということをしていないから、以前山に登っていたとはいえ、やはり体力的に不安があった。
そこで白羽の矢が立ったのが、熊の山だった。歩行時間が短く、標高が低くても登山らしい道を歩けて、素晴らしい景色を見ることもできるので、登山初心者や家族連れにぴったりの山、と思ったのだが。
登山道は民家の脇を抜けたあたりから始まるのだが、その前にあるアスファルトで舗装された道から既に登りは始まっていて、ここが案外しんどい。登山道に入ってからも、登りと下りを小刻みに繰り返す道で、これが意外と傾斜がきつい。私が先頭を歩いたが、妻と次男が少し遅れがちなものだから、ちょいちょい後ろを振り返っては立ち止まり、急がずのんびりと歩いた。
だが、頂上に着くと、素晴らしい景色が待っていた。あたりに見えるのは、山、山、山……と山ばかり。遠くには筑波山や栃木の山も見える。
「うわぁ、すごいなこれは」
と一人感動する私。妻と次男は疲れ果てて景色を楽しむ余裕もなかったようで、ぐったりとして座り込んでいた。長男は、景色よりも昼飯を食べるのに夢中であった。
妻と次男には多少きつかったかもしれないが、少しくらいきつい方が思い出に残るというもの。そう、これも家族の思い出作りだ。つらい経験の共有。このつらさも山登りの醍醐味なのだ。
その時はつらくても、後になってみれば「楽しかった思い出」に変わるものなのだ。後日、あの山に登ったよね、大変だったけれど楽しかったね、なんて言葉が聞けるに違いない。
「また別の日に隣の盛金富士も登ろうね」
下山後に家族にそう告げると、山登りどころか動くこと自体が嫌いな次男は、そっぽを向いて返事をしなかった。本当は「楽しかった、また山登り行こうね」と言いたかったのだろう。
思春期だから、照れていたに違いない。
熊の山・登山のあしあと(写真)
水郡線・下小川駅に車を停めてスタート
駐車場はけっこう広い。この駅からは盛金富士へもアクセスできる。
線路沿いに歩いていき、平山橋へ。下小川駅へ車で向かう際は、この橋を通るように案内されるが、道幅が狭い。一応、コンパクトな車ならば通行できる。
平山橋を渡る。
国道118号を渡り、細い道へ。標識あり。
長閑な風景の中を歩いていく。
この標識を曲がる。ここまでがけっこう長い。
民家の隣を抜けて、登山道へ。
熊の山の登山道。気持ちよい。
意外と登りがきつい(久々だから?)。
標識は多め。
杉林になってくると、ゴール間近。
熊野神社の鳥居。階段は197段だった(妻が数えたので間違っているかも)。
頂上間近。
熊の山の頂上。広いし見晴らしがよい。
熊の山の頂上から。
頂上からの眺め。山ばかりなんだけれど、それがいい!
下山路。ピストンではなく、違うルートで下山した。
赤い橋の下を抜けて。
下小川橋を渡って、下小川駅へ。低いし、歩く時間も3時間程度だけれど、満足度が高い山だった!