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ステッドラーのアバンギャルドライト

モノ
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ちょっと高価なボールペンを持つと、日常のテンションがちょっと上がる。

先日、ペンを買った。

正確には「買ってもらった」。誕生日プレゼントというやつだ。

買ってもらったのは、ステッドラーのボールペン。アバンギャルドライトという名の多機能ペンである。

ステッドラーのペンは以前から「狙って」いた。職場の文具好きなK女史から文具の本を見せてもらって、そこでトキメイタ。文具にほとんど興味はなかった私だが、その本を見て「文具に凝るって何かいいな」と思った。まさにミーハーである。

ステッドラーは、マークがかっこいい。ローマ神話の戦いの神「MARS(マルス)」をモチーフにしたもので、その頭から首にかけてがロゴマークになっており、「マルスヘッド」と呼ばれている。

また、デザインがシンプルでいい。何となく、ドイツっぽいな、と思っていたら本当にドイツのメーカーだった。直感が当たったことに運命を感じた。

ある日近所の量販店にある文具屋に行くと、ステッドラーのボールペンが売られていた。そのなかで私の心を射ぬいたのが、アバンギャルドライトだった。

シンプルでかわいいデザイン。実物を見ると更にトキメイタ。だが、いかんせん2,200円(別)と安くはない。いや、文具好きな人にとっては安いのかもしれないが、にわかに好きな私には、いつ失くすかもしれないボールペンに2,200円はちょっとお高い。

でも、かわいい。おシャレだ。一目で普通のボールペンではないとわかる。やっぱり欲しい……でもちょっと高い……。アバンギャルドライトを目の前に、うんうんと唸りながら購入するかどうか迷った挙句、やめた。

少し前にMONOのボールペンを買ったばかりだし、高価なボールペンを買うと、失くしてしまった時のショックが大きそうだから。

それからしばらく経って。

誕生日が近づいてきた。40歳を超えると、誕生日なんて別にうれしくもなんともなく、いたって平日と変わらない。誕生日当日など、ツレのM子に「おめでとう」と言われて誕生日と気付いたくらいだ。

「プレゼント何がいい?」

とM子に聞かれたが、それらしいのが何も思い浮かばない。新しいパソコンは欲しいが、誕生日プレゼントとはちょっと趣きが違うし、何より貰うには高価すぎる。洋服でいいかな、と決めかけた時に、ふとマルスヘッドが思い浮かんだ。

「ボールペンがいい!」

自分で買うには高い買い物な気がするが、プレゼントされるなら欲しい。それに、高価な贈り物ならば意識して大事に使うはず。

ツレには「ボールペン?変なの」と言われた。

別に変ではないだろ、オシャレだろ、オトナだろ。

いざ文具店に買いに行くとアバンギャルドライトはカラーバリエーションが豊富なので、どれにしようか迷う。

ステッドラーのアバンギャルドライト(グリーンティ)

青は如何にもステッドラーっぽくていい。緑と黒は好きな色だ。でも、黒のボールペンはそこらへんにあるな。で、結局は緑(グリーンティ)を選んだ。

さて、これにて念願のステッドラーのボールペンを手に入れた訳である。2,200円もするボールペンである。コンビニで売っているボールペンの10倍、20倍はする品である。

ウキウキしながら箱から開けて、ペンを取り出す。

あれ? 思ったより軽いし、小さい。女性用?と思うくらいにかわいらしい。いわゆる3色ボールペンなのだが、この大きさに本当に3色入っているの?と疑わしいくらに小さい。

いざ使ってみると、3色の使い分け方が独特で面白い。

普通の多機能ペンは色ごとにノックが付いていて、使いたい色のノックを押すとその色が出るものだが、このペンにはノックが一つしかない。または先日買ったMONOの多機能ペンのように本体をツイストさせて色を切り替えるものもあるが、このペンはそんなことできそうにない。

Blackの印字を上に向けてノックを押すと、黒のボールペンになる

このペンの機能切替方法は、本体にBlack、0.5mm、●が印字されていて、使いたい機能の面を上にしてノックを押すことでその機能が使えるというものだった。Blackなら黒ボールペン、0.5mmならシャープペンシル、●なら赤ボールペン、といった具合である。馴れるまでに少し時間がかかったが、慣れると使うのが楽しくなった。

材質はアルミ製。後から調べてわかったが、ステッドラーはドイツのメーカーだけあって環境保全への配慮をしている会社らしい。プラスチック製じゃないのは、今の時代にも合っている。

「アバンギャルド」は「前衛」という意味。
このペンを使いだしてから、仕事に対してちょっと積極的になれた気がする。

 

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ステッドラーのアバンギャルドライトを3ヶ月使ってみて

ステッドラーのアバンギャルド・ライトを使い始めて、3ヶ月が経った。

使い始めた時の感想は……「使いにくい」。ペンの長さが普通のペンよりも短くて、持ちにくい。 握ってみてしっくりこない感じがする。それはペンの「軽さ」も影響していると思う。

しかも、シャープペンシルの芯が折れやすい。使っているとポキポキ折れてしまう。これは私の使い方が悪いせいだろうか、と思いググってみると同様の症例があちこちにアップされている。 アヴァンギャルドライトのシャー芯の折れやすさは有名らしく、その構造に問題があるらしい。書く度にポキポキ芯が折れてしまい、書きにくいったらありゃしない。加えて、シャープペンシルの芯も交換しにくいし。

書くためのペンなのに、まともに書くことができないとは何たることか。

これならば、コンビニで売っている100円そこそこのボールペンやシャーペンの方がはるかに書きやすい。 せっかく買ってもらったアヴァンギャルドライトだが、この使いにくさでは「筆入れの肥やし」になってしまう……と使い始めは不安になった。

使いにくいのならば無理して使わなければいいのだが、無理してでも使いたい理由があって。

だって、かわいいんだもの(デザインも色も)。

小ぶりで軽くて、日本のペンにはない如何にもヨーロッパです、ドイツですという硬質なフォルムをしていて。 色はさわやかなキミドリ色で、その色の名称が「グリーンティ」というのは逆に日本らしい。 「どこでも売っている」という訳ではないから、特別感もある。

そんな訳で、使い始めは「使いにくい」と思ったが、どうにかして「使いこなそう」と思い3ヶ月使っていたら、使いにくさが気にならなくなってきた。 軽さ・短さは使っているうちに手に馴染んだ。 シャーペンの芯の折れやすさも、注意して使えば折れる回数が減ったし、そもそも「折れやすいもの」として考えれば、「折れる」ことは想定内になるからそこまでストレスを感じなくなった。 苦戦していたシャーペンの芯の交換も、シャーペンをノックしてから交換すれば割とすんなり交換できた。

シャーペンの芯の交換は、シャーペンをノックしてから交換すると交換しやすい。

そうして使い続けていたら今度は愛着がわいてきて、このアバンギャルドライトを「使い続けたい」と思うようになる。 出来の悪い子ほど可愛いというが、そんな感情もあって使いこなすのに苦労した分、このペンが可愛らしく思えてきた。

そうすると今度は新たな問題が出てくる。 ペンのインクは当然消耗品だから、替え芯が必要だ。 替え芯は気軽にちょいと購入できた方がいい。 けれど、ステッドラーのボールペン自体、田舎の文房具店で扱っているお店はそんなに多くはないわけで。

上がステッドラーの純正替え芯。下が三菱鉛筆ジェットストリームの替え芯。瓜二つ

ググってみたら、三菱鉛筆uniのジェットストリームの多色多機能用の替え芯でも対応可能とあるではないか! 早速購入して芯を交換してみると、すんなり交換できてすんなり書くことができた。

こうして「(まともに)書くことができないペン」だったステッドラーのアバンギャルドライトは、私にとって「欠くことのできないペン」になった。

ステッドラーのアバンギャルドライト(グリーンティ)

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