百里基地航空祭に行ってきた(2023/12/17)
毎年この時期になると、友人S田から百里基地の航空祭へのお誘いがある。
自衛隊やら戦車やら戦闘機やらに興味があると言った覚えは一度もないのだが、何故だか毎年誘ってきて、私はそれを毎年断る。まったく興味がない訳ではないのだが、特別興味がある訳でもないから、ブルーインパルスがどうのこうの言われてもまったくその価値がわからないので「検討しておく」といっておいて、最終的には丁重にお断りするのが常であった。
そのやり取りが毎年続くものだから、さすがに一度くらいは誘いにのった方が良いかと今年は思った。そんな訳で、私よりもその類に興味がない奥方のM子さんを連れて、百里基地の航空祭に行ってきた。
駐車場が近くにはないので、付近の農家や民家が持つ空き地が臨時駐車場化していた。一台駐車するのに3,000円かかるので、近隣の土地を持っている住民にとってはいいお小遣いになるだろう。私たちもそのような場所に車を停めて、基地まで歩く。
同じように航空祭に行くであろう人たちが、同じ方向にぞろぞろと歩いている。その人たちの後に続いて20分ほど歩くと百里基地に到着した。
百里基地に着くと、その人の多さに驚いた。それでもS田氏いわく「これでも人が少ない方だよ。今年はブルーインパルスが来ないからね」らしい。調べてみると、毎年4~5万人もの人が、この航空祭目当てに百里基地に来るという。
基地内には、飲食店やら土産物やらの出店があって、お祭りムード。果たしてここが自衛隊の基地なのか疑わしくなるほどのにぎわいっぷりであった。
百里基地の駐機場と呼ばれる広場には、様々な戦闘機が並んでいて、来場者はカメラ片手にそれらに群がっていた。
「あれがE-2C ホークアイで、あれはF-15戦闘機で……」なんてS田氏が説明してくれるが、記号と数字に弱い私はまるで覚えられそうもない。けれど、デザインとして格好が良いと思える飛行機はいくつかあった(だって男の子だもの)。
格好が良いと思う反面、思うこともあった。
日本では「自衛隊」といって「自国を守る」組織だけれども、機能的には「軍隊」と同じようなもので。これらの兵器で命を奪われる人もいる……現に、ウクライナやイスラエルでもそれは起こっていて。そう思うと、見たまんま「格好が良い」と喜んでいいものやら、という葛藤が起きた。
時間になると、戦闘機による通過飛行や機動飛行、救難活動などが一般公開された。目玉は機動飛行らしく、3機の戦闘機が上空を曲芸のように飛び回った。
それを見た私は「おー、かっこいい」と唸る(おいおい、葛藤はどこへやら)。
ふと、奥方を見ると空を見ずに地面を見てうずくまっている。
「どうした?」と声をかけると「寒い」と言う。
百里基地の駐機場は、広々としていて風を諸に受ける場所だった。その日は強風が吹いていて、後から聞いた話では風によってテントが飛ばされ来場者がケガをする事故もあったという。私は厚手のダウンジャケットを着ていたから大丈夫であったが、奥方は薄手のコートだったので、さぞかし寒かったであろう。
風の吹いてくる方向を見ると、人だかりの向こうに筑波山がきれいに見えた。
人の黒い頭がいくつもいくつもあって、それが海のように広がっていて、その上にぽつんと筑波山がそびえていた。その光景がとてもきれいでいて、奇妙であったので、私はカメラの向きを飛行機から筑波山に変更して、パシャパシャと写真を撮った。
程なくして、奥方のM子さんが「もう飽きちゃったな」というので、先においとますることにした。
「M子さんにはちょっと楽しくなかったかな?」と聞くと、「うーん」と唸る。
「飛行機が飛んでいくと、それに合わせてみんな一斉にカメラのレンズをそっちに向けるから、その動きを見てるのは楽しかったかな」
航空祭の意外な楽しみ方を発見した一日であった。