MONOグラフマルチを買う。
最近、お気に入りのモノがある。それは、MONOのボールペンだ。
ある日の職場で、文房具の話で職場のK女史とS女史が盛り上がっていた。
「伊東屋の○○がね」
「万年筆が○○でね」
文房具に無頓着な私には何のことやらさっぱりで、まるで話題についていけない。
でも、万年筆には憧れたことがあった。これでも若かりし頃は小説家になりたい!なんて思い、400字詰め原稿用紙換算で100枚や400枚やらの駄文を書き連ね、どこそこの文学賞に応募したものだ。
小説家といえば、頭をぼりぼりかきながら万年筆を使って原稿用紙に文章を書き、失敗したら紙をまるめてそのへんに投げ捨て、あーだのうーだの唸っている……というイメージを未だに持っているものだから、万年筆に憧れた次第だ。
欲しい、でも、使わないよね? ボールペンだよね? ていうか、パソコンだよね?
万年筆がダメなら、ボールペンだ! いいボールペンが欲しい! と思った時期もあった。しかし、私はボールペンをよくなくす。胸のポケットに入れていたはずが、カバンのボールペンを差すところに入れていたはずが、いつの間にかなくなっている。会社の上司とか父親から良さげなボールペンを貰っても、なくしてしまうから仕方ない。
そんな訳だからして、良い文房具に対して「諦め」た。コンビニや100均一で間に合わせの物を使っていた。どうせなくしてしまうのだから、いい物を買っても意味がない。
だが、職場の女史たちがそんな話をしているものだから、気になった。諦めていた文房具への想いが、少しだけ再燃した。
自分のデスクに戻ると、自分の使っている消しゴムが気になった。青・白・黒のトリコロールのケースに入った消しゴムで、中央の白の部分に「MONO」と書いてあった。MONOは、その辺でいくらでも売っているし、有名だから知っている。知っているが、名前を知っている程度である。
そういえば、MONOってなんだ?
気になって、インターネットで検索してみた。
「唯一無二」を目指して
「MONO(モノ)」ブランドの誕生は1963年。 最高級鉛筆「MONO」の登場がはじまりです。
MONOは「唯一の、比類なき」などを意味するギリシャ語「monos」が語源。
(株式会社トンボ鉛筆ホームページより)
なんや、これ、かっこいい。MONOって「唯一無二」って意味が込められていたのか。トリコロールは国内で最初の「色商標」として登録しているとか。
びびび!ときた。
が、それから特にアクションを起こすでもなく、びびび!でその時は終わってしまった。
それからしばらくして。
ツレの買い物の付き合いで、ホームセンターに立ち寄った。ツレが仕事道具をあれこれと選んでいる間に、私は店内をうろちょろとした。そこで目に留まったのが、文房具だった。MONOだった。消しゴムではなく、ボールペンだった。
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そのボールペンには消しゴムのトリコロールが、ボールペンのボディに描かれていた。またしても、びびび!ときた。MONOって消しゴムは良く見るけれど、ボールペンやシャーペンは見たことがない。
これは珍しい、そしてかっこいい。
そして機能的だ。ボールペンの赤と黒に加えて、シャープペンシルまで備わっている。それだけではない。MONOらしさというべきか、ボールペンの頭(?)には消しゴムも付いている。
「買い」だ! とMONOのボールペンの購入を決めた。
後から知ったが、このボールペンはMONOグラフという名前のシリーズで、2014年から展開されている。私が手に取ったのは赤・黒のボールペンとシャープペンシルの機能が備わったMONOグラフ マルチという商品だった。MONOというと、消しゴムのイメージしかなかったが、もともとは社名の通り鉛筆が主力商品だった。
1913年に浅草に前身の「小川春之助商店」が開業され、1927年にトンボ印の鉛筆を発売。
1939年に会社組織となり、1945年に現在も販売を続ける鉛筆、No.8900を発売する。
1963年にMONOの鉛筆が発売され、MONO消しゴムの販売は1969年。
その後、MONO消しゴムは消しゴムのトップブランドとなった。
「かっこいいボールペン見つけちゃったよ」
ツレのM子にウキウキしながら伝えた。どれどれとM子がMONOグラフを見ると「私にはわからない」とあしらわれた。どうしてわからんかな、このMONOグラフのかっこよさが。まぁいいか、女にはわからんよ、このよさは!
「これ、買うから」
「どうせなくしちゃうんでしょー」
「いや、なくさないように使う」
その決意表明として、替え芯を一緒に購入することにした。
このMONOグラフは、大事に末永く使うんだ……。
「なくしたら、替え芯で書きな」
とM子。
厳しいこと言うな、なんてその時は思ったが、それから1週間もしないうちにその替え芯の方をなくしてしまった。