かわいい内装とは裏腹に、凶悪な量のメニューがずらり
2022年3月19日、茨城県常陸大宮市に一軒の飲食店がオープンした。その名もカフェレストランJonny’s(ジョニーズ)。店名からして、その内装や諸々のデザインからして、オシャレでかわいらしいお店である。
しかし、その実態は。Jonny’sは見た目のかわいらしさに惑わされてはいけない典型的な例だ。本日、店に行ってみてJonny’sの恐ろしさを体験してきた。
日曜の12時に店に到着。駐車場はいっぱいだったが、少し待つと店を出る人がいたのでタイミングよく入れた。店内に入ると、何人かエントランス部分で待っている人がいた。
店は北欧風のやさしい色合いで統一されたかわいらしい雰囲気。ムーミンやらスナフキンやらの置物があるので、フィンランドっぽさを演出しているのか。Jonny’sって名前はアメリカンな感じがするけれど、そのミスマッチ感が面白い。
メニューを開くと、かわいらしさとのミスマッチ感はさらに増幅された。若鳥の半身揚げ丼、牛100%1ポンドハンバーグ、デカ盛り牛丼……。ボリューム満点なメニューが並ぶ。更に次のページを開くと、焦がし醤油ラーメンなんてのもある。ラーメンの盛りの幅が、並・中盛(1.5玉)・大盛(2.5玉)・特盛(3玉)と幅広く、ターゲット層が女子じゃないだろコレ(それでも女性客がけっこういる不思議さ)。
カフェレストランに醤油ラーメン? 一見さんは不思議に思うだろうが、何を隠そうJonny’sのオーナー様はかの有名なカフェスタイルShooya(前身は屋台ラーメン醤家)のOさんなのだ。
Oさん、これはまた、ヤラカシタお店を作っちゃいましたね。
公式ツイ見るとわかるけれど、この店はツインリンク茂木への通り道にあって、バイカーさんたちがよく通る。私たちが店に行った時も、バイクで来ている人が何人もいて、「これ、マスターに差し入れです」なんて献上品を持ってくる人もいて。
バイク乗りは腹が減るのかどうなのか。とにかく盛りがいいメニューばかりである。大食漢の私はそのメニューを見て闘争心を燃やす。これは、Oさんの挑戦状と受け取った。
「食べきれるものなら、食べてみろよ、げへへへ」
とせせら笑うOさんの顔が浮かび、その挑戦受けて立とうじゃないかと2、3人前の盛りがあるという「デカ盛り牛丼」を注文した。
注文の品が届くまで、店内を見渡す。ずいぶんと小奇麗になったものだ、と感心した。実をいうと私はお店の改装をほんの少しだけ手伝ったので、その原型を知っていた。モノを運んだり、壁を壊したり、床をひっぺがしたり。去年の夏に手伝ってそれきりだったのだが、Oさんはそれから更に半年かけて改装し、オープンに漕ぎ着けた。Shooyaを閉めてから8か月、ほぼDIYで作り上げたお店であるというから、Oさんの器用さと人脈と商売人根性には本当に頭が下がる。
店の奥の席に座ったのだが、そこには店のシンボル・ジョニーさん(マネキン)がいた。たしか、店長か何かだったっけ? ジョニーさんの出で立ちはパイレーツオブカリビアンのジョニー・デップに寄せていて、それがけっこうハマっているのがウケる。
そうこうしていると、牛丼が席に届いた。
え、なにこれ(珍百景?)。
メニューの写真で見るよりも、ボリュームがある。大きなどんぶりに盛られた肉はてんこ盛り。その下のご飯もかなりの量だ。確かに私は大食いだけれど、これは、ちょっとあかんやつかもしれない、と怯む。そこでまた、Oさんの顔が思い浮かぶ。
「どう? Kちゃん(私のこと)。これは食えないでしょ? これを食べきれるくらいの根性ないとね~げへへ」
一瞬、イラっとした。
よし、やってやろう食いきってやろうと箸を手に取り、牛肉の山に果敢に挑んだ。でも、ちょっとやそっと食べたくらいでは肉の下にあるご飯すら見えない。途中で箸をフォークに変えて、一度に口に入る量を増やし見てたり、休憩がてらに水を飲んだりする。濃厚な味つけのため、最初は美味しく感じるのだが、後から効いてくる。腹八分目まで食べたつもりが、丼の中はまだ半分以上残っている。
(残そうか……)
挑戦を諦めようとフォークを置いた時、ジョニーさん(マネキン)と目が合った。
「残すんだ、へー」
ジョニーさんがそう言った(気がした)。
「貴方が食べると言うから出したのに。牛さん成仏できるかなー。お米を作った農家はどう思うかなー。食品ロスに貢献しちゃうねーワラ」
と、追い打ちをかけるジョニーさん(のような気がした)。
(何このプレッシャー?)
とまぁ、そんなやり取りがあったりなかったり(いや、ない)して、最終的にはどうにか完食。
たらふくご飯を食べたい方、バイク乗りの方、そしてジョニーさんに会いたい方は、ぜひカフェレストランJonny’sへ。