ひとり農家のひとりごと ~城里町の高萩さん~ 取材記(9)

雨にも負けず風にも負けず、台風15号の被害にも負けず。高萩さんは今日も畑に向かうのであった(取材日:2019/10/3)

 

農らく路の台風15号被害報告

倒壊したパイプハウス。

2019年9月9日。
関東地方に台風15号が直撃しました。千葉県を中心に甚大な被害があり、その傷跡は未だ癒えていません。年々強さを増していく台風は、私たちに自然の恐ろしさを再確認させ、安全の常識を覆していきます。直せばいい、元に戻ればいいというだけではなく、今後の備えについて真剣に考えていかねばなりません。もちろん、それは個人だけではなく、もっと大きな枠組みで。

今回の台風15号は、私が住む茨城県にも大きな被害をもたらしました。
強風による建物損壊、停電。その影響により負傷者も出ました。

茨城県は、農業産出額3位(平成29年)の農業大国。そして、このブログ名は「農家さんのおはなし」となれば、気になるのは台風による農業被害です。茨城県では台風15号によって、ハウスが倒壊したり、収穫前の作物が強風でなぎ倒されたりといった被害があり、県内の農家さんは大きなダメージを受けました。

茨城県の農作物の被害額は15億3000万円、農業用施設の被害額は44億6000万円。2つを合わせた農業被害額はおよそ60億円に上ります。これは、茨城県の農業被害額の過去25年で、一番大きい被害額とのことで、今回の台風が如何に狂暴であったことかがわかります。

特に被害が大きかったのは、鉾田市・行方市・神栖市・稲敷市・茨城町で、県の名産品であるメロンも大打撃を受けたようです
日本農業新聞 10/5の記事による

では、城里町に住む農家の高萩さん(屋号:農らく路)のところはというと…。

メインで栽培しているアスパラガスやレンコンは無事でしたが、きゅうりやオクラが風で倒され、トラクターなどを収容していたハウスが倒壊。

畝間に水が溜まる。

強風で倒れそうになったオクラ。

ですが、当の本人は「また倒されなぁ」といった具合で、意外にも冷静、というか他人事?みたいな反応です。以前に、台風や大雪でアスパラのハウスが壊されたこともあるので、もはや自然災害には慣れっこといったところでしょうか。何とも逞しいことで!

というわけで、9月の高萩さんは、
倒壊したハウスの修復作業
アスパラの収穫(去年と比べると気温が高いため、まだ収穫できている)
レンコン(カラ(茎)刈り終了。9月末に試し掘り。去年よりも小ぶりだが、甘くて味は良いとのこと)
生姜(生育状況良い。9月から収穫。直売所で販売中!)

10月以降はマコモダケの収穫やレンコンの収穫が始まります。
アスパラガスは、冬眠の準備。葉の栄養を根に戻し、冬を越して春に芽吹くためのエネルギーを蓄える時期です。

10月のアスパラガス。今年はまだ元気!

マコモダケの収穫

収穫後のマコモダケ

さて、今回の取材ではマコモダケの収穫を見させていただきました。
取材後に予定のあった私は、今回は見学のみ。
2ヶ月連続で手伝いをしていません……。

※一年前のブログにも、マコモの様子は書かせていただいています。

マコモダケの収穫

マコモダケは、蓮田の隅の方に植えられています。

今回もお約束で、収穫したマコモをその場で、生で!食べさせていただきました。

…何だか不思議な食感。キノコみたい?
甘味があっておいしかったです。

お土産にマコモをいただいて、そちらは自宅で輪切りにして油を使って焼いて食べてみました。
なんだろう? ちょっとアボカドチックな味と食感?

マコモは腸にも良い食べ物です。マコモにはマコモ菌が含まれていて、マコモ菌は腸内に善玉菌(ビフィズス菌や乳酸菌)が住みやすい環境を作り出すことに関係しています。また、食物繊維が豊富に含まれているので、これまた腸に良い作用をもたらします。

要するに、マコモは腸に「超」良い食べ物ということで。

また、マコモダケは水の浄化作用があったり、葉で編み物を作れたり、茎をお茶にして飲むことができたりと、食の機能以外にも有能な植物です。

「マコモ・マニアもいるそうですよ」と高萩さん。

マコモダケは、人に「だけ」ではなく、環境にも優しい「マコモ(まとも)」な植物なんです……えー、おあとがよろしいようで。

こちらは別の田にあるマコモダケ。トラクターが埋まったため、管理作業ができずに雑草が…。

周りは雑草だらけでも、しっかりと食用の部分(茎が肥大化したもの)は付いています。

 

平日の高萩さん

いつもと変わらぬ高萩さん

今回の取材は、珍しく平日に行われました。その理由はかくかくしかじか。まぁ、個人的な理由からなんですが。

いつもは土曜か日曜、もしくは祝日に取材していたので、平日に高萩さんと会うのは数年ぶりでした。(以前に平日に会ったのは、私が農業をしていた頃でしょうか)

平日の高萩さんは、いつもと違うのだろうか?

取材に行く道中で、そんな疑問が思い浮かんだので、取材時に直接高萩さんに聞いてみました。

「基本的に、日曜は仕事しないように心がけています。収穫と出荷といった最低限の仕事だけするようにしています。土日はモノが売れる日なので、出荷作業に力を入れていますね。あと、土日は仕事の電話がないので、仕事が増えませんし、自分のペースが乱されないのはいいところですね。平日の方が、気分で動いている部分が多いかもしれません。その日の気分によって、出荷しない日もありますから」

そうだったのか! 1年以上取材してきて、初めて知った高萩さんの曜日感覚。
高萩さんも、やっぱり日曜は休みたいみたいです。

そういえば、今日は平日だから高萩さんがいつもよりリラックスしているように見える?
…と思いましたが、高萩さんはいつもリラックスしている感じだったのを思い出し、結局曜日に関係なく高萩さんは高萩さんなんだな、という結論に辿りつきました。

雨ニモマケズ
風ニモマケズ
台風15号ノ被害ニモマケズ
丈夫ナカラダトココロヲモチ
決シテ瞋ラズ
曜日ニカカワラズ
イツモシヅカニワラッテヰル

…そういう人に、私もなりたいなぁ。

 

 

 

高萩さんの野菜が買えるお店

道の駅かつら

那珂川に御前山、懐かしいみんなの田舎、道の駅かつらです。
道の駅かつらは、茨城県の北西、那珂川の辺の豊かな自然のロケーションです。山紫水明の茨城県立自然公園御前山と清流那珂川を望む素晴らしい景勝の地に立地しております。地域で生産された新鮮な農産物や加工品・工芸品などの産地直売品をはじめ、常陸秋そばなどの郷土料理の提供など、地域活性化の拠点として設置されました。

つちっこ河和田

つちっこ河和田(上中妻地区農産物直売所)
Tweet 新鮮な野菜が並ぶ人気ショップ 2000年10月に設立した通称つちっこ河和田は岩間街道沿いにあります。年6回の感謝セールの開催だけでなく、消費者と生産者とが親交を深めようと始まった交流会ではイチゴ狩りや、そば打ち教室などを行ってい

渡里地区農産物直売所

渡里のマルシェ「わたまる」
Tweet 毎月10日の“納豆の日”も人気 渡里農産物直売所は、水戸市内の渡里地区、飯富地区、国田地区、柳河地区の生産者約160名により構成されており、豊富な品ぞろえで地元の皆さまにご愛顧頂いています。 6月のブルーベリー、秋の栗、梨、ぶど