日立市大みか町をぶらり、散歩(2021/9/18)
次男坊、初めて電車に乗る
下の子が、電車に乗ったことがないというから、電車に乗ることにした。
通常、電車は交通手段であるから、別の目的があって乗るものである。「電車に乗る」ことが目的となると、さて、どこへ行こうかと悩んでしまった。
ただ電車に乗るだけならば、一駅乗れば事足りる。けれどそれでは面白味がないし、乗車時間が短すぎるから電車に乗ったという実感を得ることもできなそう。ならば、遠出ができればいいのだが、時代はコロナ禍、緊急事態宣言下であり、県をまたぐ移動は慎まねばならない。
茨城県内で、ほどよい時間電車に乗れて、行きつく先に何かしら面白味が欲しい。そう思って選んだのが、JR常磐線の大甕駅である。
大甕駅は、茨城県日立市南部にある大みか町にある駅で、水戸駅から常磐線で20分の場所にある。初めて電車に乗るのに、20分という時間は短すぎず長すぎず、ちょうどよい。それに、大甕駅から1.3㎞ほど東に歩けば、海があり、日立灯台がある。往復2.6㎞は散歩するにはちょっと短い距離であるが、灯台を見るという目的があるから面白味もある。
あらゆる面で「ちょうどよい」と判断し、大みか町への小トリップを決行することにした。
水戸駅で切符を買い、改札を通る。ここで下の子、自動改札から排出された切符を受け取るのに時間がかかり、切符が吸い込まれてしまうというアクシデントが発生。こんなことが起こるのかと驚く。下の子はもっと驚いたであろう。こういうアクシデントも経験のひとつ。これからもいろいろ経験してくださいな、次男坊。切符は駅員さんに取り出してもらい、ホームに下りた。
ホームで電車を待つということも、次男坊にとっては初めての経験になる。やることなすこと、見る物、「初めて」。大人になると何でもかんでも慣れてしまって、「初めて」の時に味わえるドキドキ感がなくなってしまう。いいなぁ、楽しいだろうなぁと次男坊を見やると、至って平然としている。電車に乗ってからも同様で、おいおい、本当に初めてか?と疑問を抱くほどである。もうちょっとリアクション取りなさい、と思うが、うちの子はまぁこんなものかとも思う。あとで話を聞いたら、「思ったより揺れて怖かった」という初めてらしい感想が聞けたので、良しとする。
県道288号を歩き、日立灯台へ
大甕駅に着くと、東口から出て県道288号線を歩く。途中にあったへんこつうどんで昼ごはん。へんこつうどんって、いつからか今風の看板になったな、昔はもうちょっと古臭い感じだったのに。
大甕駅からの県道288号線沿いはチェーン店が多く、道路幅も少し広いから大子町の駅前商店街のような風情はなく、どこにでもある地方の町の駅前通りといった感である。へんこつうどんあたりにあるカーブから先を東に歩くと、道の彼方に海が見えてくる。海を正面に見ながら街を歩くのは、なかなか新鮮で心躍った。
県道を東端まで歩くと、国道245号線にぶつかる。このぶつかった先にあるレストラン清海には一度行ったことがあるが、海のすぐそばにあって昔からある洋風レストランといった佇まいが良い。ご飯もおいしかったような記憶があるし、今日も混雑していたからやっぱりうまいのだろう。
T字路を右に折れ、国道沿いを歩きながら、灯台はどこかと視界を探るが見当たらない。灯台だから高さもあって、遠くから見えてもよさそうなのに。グーグルマップのナビに従い、コンビニを左に折れると突然その姿を現した。それほど高くない灯台だったので、見えなかったのだろうとわかる。それでも、急に灯台が目の前にどんと現れたものだから、それなりに驚き、興奮もした。
日立灯台は古房地(こうぼうち)公園の中にあって、そこそこ人でにぎわっていた。ほんの少しばかり灯台に登れるようだったので、登ってみる。展望は……良くはない。違う場所から北側を眺めると、岸壁の風景が見えてそちらの方が見栄えはよかった。
そのまま来た道を引き返し、水戸駅から3時間ばかりの小トリップを終えた。
当初は「電車に乗る」という用事しかなかったけれど、ちょっとした散歩ができてちょっとした灯台も見れて、ちょっとした旅になったかと思う。
散歩の本
- 出版社 : 早川書房
- 著者 : 島田雅彦
- 発売日 : 2024/2/21
- 新書 : 224ページ
- 出版社 : 三省堂書店/創英社
- 著者 : 高橋冬
- 発売日 : 2024/3/6
- 単行本(ソフトカバー) : 398ページ