「かわち水と緑のふれあい公園」が50万球のLEDのひかりに包まれる(2023/12/3)
辺りが薄暗くなり西の空が橙に染まった頃に、茨城県稲敷郡河内町にある「かわち水と緑のふれあい公園」の駐車場に到着した。駐車場には既に何台かの車が停まっていて、日が沈むにつれて車の数は増えていった。
イルミネーションが始まるまでにはまだ少しの時間があって、始まるまで車で待っていようと思ったけれど、他の皆が車から続々降りて、公園内に向かって歩いていくから、何かあるのかもしれないと思って私たちも外に出てみたら、きぃんとした寒さが身に染みた。
公園にはカモだかアヒルだかの鳥が湖にぷかぷか浮かんでいて、奥方のM子さんが「寒くないのかな?」と言う。そりゃ寒いだろう、寒いに決まっているだろうと思ったが、鳥の気持ちはわからないから「寒そうだよね」と言うにとどめた。
ぞろぞろと歩いていく人の波に流されて、公園の奥地まで辿りつく。道中、これから光を放つであろうLEDの電球が目にとまる。それがわらわらと公園内にあって、何だか滑稽に見えた。
実をいうと、この河内町のイルミネーションを見るにあたって、悩んだことがあった。それは、どんなタイミングでイルミネーションを目にするか、だ。
イルミネーションの開始は17時。それ以降に到着して既に光を放っている状態で目にするのがいいのか、それとも、光を放つ前に到着して光る瞬間を目にするのがいいのか。
既に始まっている状態で目にすれば、燦々と輝く光の群れが向かう途中の車中から見えるだろう。「あ、あれだあれだ!すごいすごい!」なんてはしゃぎながら、公園に向かうのであろう。遠目から全容を確認し、近づくにつれて詳細を目にして「まぁ、キレイ!」なんて感動するのであろうな。
また、始まる前に到着して光を放つ瞬間を目にするのも、それはそれで感動しそうである。暗闇に包まれた公園が、一瞬にして光の園になる様を目にして、「わぁ、素敵!」なんて。でも、始まる前の姿を見てしまい、何となくの全容がわかってしまうと興醒めするかもしれない。
果たして、どちらの方がM子さんの感動を呼ぶのか。
悩んだ挙句、というか時間を持て余したのでイルミネーションが始まる前に到着して見ることにした。
人の波に流されたまま、公園の奥の方までやってくる。
皆はここで立ち止まり、時刻が来るのを待っていた。
私たちも同様にそうした。
ここまで園内を歩いてきて、何となくだが光の在り処はわかっていた。これが光るのだろうな、あれも光るのだろうな、なんて思いながら歩いて来た。興醒めとまではいかないが、イルミネーションの規模はわかったつもりでいた。
開始時間間際になると、辺りはすっかり闇に包まれ、道路を通る車のライトがそれを照らす。「まだかな、まだかな」「寒いね」なんて言いながら、今か今かと時が過ぎるのを待つ。
そして、時間になると、公園内の電球が一斉にばーっと光を放った。それと同時に音楽が流れる。
真っ黒だった風景が一瞬にしてディズニーランドのような光のテーマパークに変貌した。
「わー!」と小さく感嘆の声をあげたのは、奥方ではなく私だった。
どこが光るか大方の予想はついていても、圧倒される光の量だった。直前までは暗闇だったのがまたよかったのかもしれないし、同時に流れた音楽がまたよかったのかもしれない。
「これはすごい、すごい」と興奮気味にカメラで写真を撮る私……だったが、いや待てよ、ここへはM子さんを喜ばすために来たんだった。ふと、隣にいるM子さんを見ると、イルミネーションと同じくらいに瞳をキラキラさせて、スマホで写真を撮っていた。
「どう?」と尋ねると、「うん、きれい!」。
この時、「M子さんはそれ以上にキレイだよ」とでも言っておけば、奥方の私に対する日頃の扱いが少しも良くなったのかもしれない。
かわちイルミネーション2023
開催日時:2023年11月3日(金)~2月18日(日) 17:00~21:00
場所;かわち水と緑のふれあい公園