城里町の古民家「島家住宅」で
ドメーヌ水戸のワイン&城里野菜を
週末は城里町で
先日の庭先カフェの時に、イベント運営者から手渡された一枚のチラシ。
そのチラシには「古民家 de ワインバル」と見出しがあって、ブドウの写真と囲炉裏で焼き物をしている写真が大きく掲載されていて、写真の上には、茅葺き古民家、ブドウ畑見学、ホタル、BBQなどの何とも楽しそうで興味深い文字が載っていました。
ほかに、ワイン、城里産野菜、キングポークといったおいしそうな言葉たちも綴られています。
どうやら、また城里町でイベントがあるようです。
6/2(日)に庭先カフェ、6/9(日)に柳家わさび独演会、そして6/15(土)に古民家 de ワインバル。
振り返ってみると、城里町は6月に入ってから毎週イベントを開催しているではありませんか。
私は、庭先カフェと落語会に参加していたので、今回の古民家 de ワインバルに参加すれば、3週連続で週末を城里町で過ごすということになって、それは私の人生でも稀有なことであって、2019年6月は間違いなく過去最高の城里滞在率になりそう。
先に挙げた言葉の誘惑と、「週末を城里町で過ごす」という新しいトレンドに魅力を感じ、イベントに参加させていただきました。
ワインを知り、ワインを楽しむ
さて、この「古民家 de ワインバル」は、どんなイベントだったかというと。
主催である城里町の地域おこし協力隊が、水戸のワイナリー「ドメーヌ水戸」と茨城県の開発公社の協力のもと、参加者に「城里町の資源を堪能していただこう」という主旨で開催したイベントです。
城里町には野菜や肉(キングポークというブランド肉)、お茶(古内茶)などの素晴らしい食材=資源がたくさんあるので、それをアピールしようという訳ですね。
会場は国の登録有形文化財である古民家・島家住宅。
こちらで、ドメーヌ水戸のワインと一緒に城里町の資源をおいしくいただいてしまおうという、そんなイベントでございました。
なぜワインなのかというと、4年前からドメーヌ水戸のワインに使用するブドウを、ここ城里町でも作り始めたから。
だから、そのブドウ畑見学もプログラムに含まれていたのですが……。
イベント当日はあいにくの雨で、しかも、ちょっとした雨ではなく、しっかりとした雨で、ブドウ畑見学やホタル観察は諦めるしかないといったムード……。
だったのですが、小雨になったタイミングを見計らって、ドメーヌ水戸の宮本社長の案内でブドウ畑の見学をさせていただきました。
茨城では食用のブドウはたくさん作られているが、ワイン用のブドウはほとんど作られていないとか、これがブドウの花で、これが花が枯れた状態で、とか……。
夜にはワインについてのアレコレも教えてくれ、まるでワインの勉強会に来たような充実ぶり。
はたまた、「もやしもん」の樹教授の長台詞を読むかのような、学びの楽しさがありました。
もやしもん(6巻)ワインを飲まずにいられなくなるフランス編はこちら
普段、何も考えずにがばがばと口に運んでいたワインですが、今回のおはなしを聞いて、ワインへの接し方が変わりそうです。
イベントでは1,000円でドメーヌ水戸のワインが飲み放題。
このワインが大変飲みやすくて、でも後味にはしっかりと渋味があって美味。
飲み放題とあれば飲まにゃあ損と、得たばかりのワインの知識とワインへの新しい接し方はどこへやら。
この日も変わらず、ワインをがばがばと口に運んでしまいましたとさ。
城里町の資源とは
そのワインと一緒に提供されたのが、城里産の野菜と城里産のブランド豚肉・キングポークで、これらを住宅内の土間で焼いて食べました。
野菜も肉も、本当にうまい!
中でも印象に残っているのが玉ねぎで、食べた瞬間、おお!これはうまい!と声に出してしまったほど。
キングポークは久しぶりにいただきましたが、これはもう、言葉にならないくらいのおいしさで、城里町の「地域資源」はとてもおいしいものだという認識をまんまと植え付けられた感があります。
でも、城里町の地域資源は食べ物だけではないのです。
ワインもブドウも、大変おいしかったのですが、それを増幅させていたのがイベント会場の島家住宅の雰囲気の良さ。
イマドキの家ではまず見ない「土間」、
ギシギシと歩くたびに音がする「縁側」、
黒さが歴史を感じさせる「柱」と「梁」。
畳にどっしりと腰を下ろし、島家住宅内を見ているだけで、心が喜んでいるのがわかります。
時をさかのぼること約350年前、江戸時代中期にこの住宅は建てられたこの住宅で、住んでいた人はどんな生活を送っていたのだろうか…なんて考えるのも、なかなか楽しい時間でした。
その雰囲気の良い古民家を、さらに幻想的に演出してくれたのが、水戸市の鈴木茂兵衛商店の提灯たちです。
鈴木茂兵衛商店は、提灯づくり150年という提灯づくりの老舗中の老舗。
その独創的な提灯が灯す明かりが、島家住宅の魅力を引き立てていました。
心落ち着く場所で、おいしいワインと料理をいただきながら、参加者の皆さまとおしゃべり。
それは日常にありそうでない、素敵なひとときになりました。
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまい、充実した気分で帰ろうとした時のこと。
最後に、とっておきの城里資源が待っていました。
ホタルの光
太陽はとっくに沈んでしまい、あたりは真っ暗。
近隣に外灯はほとんどなく、月の明かりも厚い雲で覆われていたので、本当の「暗闇」です。
夜というのは、こんなにも暗かったっけと思うほど、暗い、というか、もはや黒い。
そんな「黒」の中に、すぅっと光るものが浮遊しているのが見えました。
「雨だから今日はホタルは無理だね」
夕暮れ時に地元の人がそのように話していて、今日はホタル観賞を諦めていたのですが、イベント終了間際…お店でいえば閉店10分前のまさに「蛍の光」が流れる時間帯に、その姿を見せてくれたのです。
田んぼを流れる水路に沿って、ふんわりふわりと浮かぶホタルの光。
それを見ながら、脳内に流れる蛍の光。
絶妙なマッチングに気付き、ニヤニヤする私でした。
そして、おいしい野菜やワイン用のブドウ、畜産物やホタルなどを育むこの自然こそ、城里町の最高の資源なんだな、と一人納得し、家路を辿るのでありました。