野良本⑩ 自然について、私の考えを話そう。/ 山と渓谷社編 を読んで(若菜晃子本について)

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山について、自然について。偉人達の意識に触れる。

 

若菜晃子さんの文章に惚れる

私が、若菜晃子さんの文章と出会ったのはいつだっただろうか。

Spectator(スペクテイター)の「OUTSIDE JOURNAL 2012」で紹介されていたのを読んで?
暮らしの手帳別冊の「徒歩旅行」を読んで?
それとも、この山と渓谷社から出た「自然について、私の考えを話そう。」を読んで?

きっかけは忘れてしまったが(おいおい)、私は若菜さんの文章が好きだ。

若菜さんの素直な気持ちが、そのまま文章に表れている気がする。
新米記者(編集者)が悪戦苦闘しながら取材して、文章を書いているような(私なんぞが、失礼なことを書くようですが)。

何ていうんだろう?

ジブリ感?

そう、ジブリ映画に出てくる主人公の少女のようなイメージを、私は若菜さんの文章に抱いている。

シータのような女性らしさがあって、ナウシカやサンのような芯の強さがある。

月島雫のように本が好きで、キキのように好奇心旺盛な面もある。

きっとサツキのように面倒見が良いに違いない(もはや妄想)。

 

それと、若菜さんの文章には、ごく自然な臨場感がある。
読んでいる私までその場にいるような、そんな感覚に陥る。

それが顕著なのが「徒歩旅行」の文章ではないだろうか。
鎌倉、木更津、松本、桐生、会津若松…自分自身が足を踏み入れた場所はもちろん、
鳥取、豊橋、村上、桑名…などの訪れたことのない場所でさえ、旅している気分になる。

そして、「旅のいきさき」というコラム。

このコラムには、旅先について若菜さんの思い出が書かれているのだが、これがまた、いい。
若菜さんの思い出が、読み手の心にすぅっと入り込んでくる。

また、今回のタイトル本「自然について、私の考えを話そう。」も彼女の人物がにじみ出ている。
この本はインタビュー本で、各界の著名人に若菜さんがインタビューしているのだが、相手のコメントに対する若菜さんの相槌がいいではないか。

「ほおー」「へえー」なんて感嘆詞は、通常ならばまず活字にしない。
「そうですね」「なるほど」なんて、インタビュー時に実際言っているかもしれないが、こちらも通常はあまり活字にしない。

本来ならば、それらの言葉はなくても、文章として本として成立する言葉である。
インタビューをした相手の文章をうまい具合にまとめてしまえば、読み手としてはすっきりと読める。
でも、この本ではそれらの言葉も活字になっていて、立派に出版されている。

私には、この自然な感じがとてもリアルに感じられた。
こんな風に、実際にインタビューしたんだろうな、と思えた。

そして、著名人相手に「ほおー」だの「へえー」だのと応じる若菜さんに対して、
先述した「新米記者(編集者)が悪戦苦闘しながら…」や「ジブリ映画に出てくる主人公の少女のような…」なイメージを抱くようになった。
さらに付け加えるならば、「深津絵里感」とでも表現しようか。

若菜さんの文章は、決して難しくない。
だけれど知性が感じられて、とても優しい(易しいだけではない)。
だからこんなに、人の心に溶け込みやすいのだろう。
その場に居合わせているような錯覚を引き起こすのだろう。
文章だけで、こんなことができるなんて。
感動すら覚える才能である。

そうして、想像上の若菜晃子像とその文章に惚れ込んだ私は、リトルプレス「murren」の定期購読を始めた。

彼女のことは、彼女が書いた文章でしか知らない。
それでも、私はその文章に心動かされ、滅多にしない定期購読などもするようになったのだ。

 

 

自然について、私の考えを話そう。

この「自然について、私の考えを話そう。」は、山登りをしない人でも知っている(?)山雑誌「山と渓谷」を発行している山と渓谷社から出ている。
本の内容は、本のタイトル通り。
先にも触れたが、各界の著名な方々の「自然」についての考えがインタビュー形式でまとめられている。

インタビューに応じているのは……、

・建築家の安藤忠雄氏
・狂言師の和泉淳子氏
・写真家の岩合光昭氏
・哲学者の梅原猛氏
・詩人の大岡信氏
・植物学者の大場秀章氏
・心理療法家の河合隼雄氏
・評論家の川本三郎氏
・編集者の島本脩二氏
・料理研究家の辰巳芳子氏
・児童文学作家の中川李枝子氏
・哲学者の森毅氏
・宗教学者の山折哲雄氏
・解剖学者の養老孟司氏
・画家の横尾忠則

と、そうそうたる面々である。

各業界で成功を収めている方々が、「自然」について何を考えているのか?
また、普段「自然」とどのように接しているのか?

インタビュアーの若菜晃子さんが、ほんわかと、時に鋭くその辺りを聞き出している。
……といっても、この本を読んだのはだいぶ昔。
誰が何と言ったかは覚えていない(何ていい加減な読書録だろうか)。

ぼんやりと覚えているのは、若菜さんの「へえー」とか「ほおー」とか(またそれか)。

 

でも、先に述べた偉人達が「自然」についてどう思っているかを知れるなんて、それだけで面白そうではないか。

この本を読むことで、偉人たちの自然に対する意識に触れることができる。 それは、自分自身も自然のことを考える時間になり、読後はとても豊かな気持ちになるはずだ。

 

 

このブログで紹介した若菜晃子さん関連本と、発行されている著書

・Spectator 26号 OUTSIDE JOURNAL 2012

私が一時期猛烈にハマり、買いまくっていたスペクテイターでも紹介されていた若菜さん。この号ではインタビューをする側でなく、される側。若菜さんの生い立ちなどがわかる一冊。

 

・暮らしの手帳別冊 徒歩旅行

ブログ内でも触れた「徒歩旅行」。購入時はムックだったので、新品はもう出回っていないっぽい。とても素敵な旅本なので、ぜひ。

 

・旅の断片

リトルプレス「murren」を読んでいると、若菜さんは世界各国に旅していることがわかる。メキシコ、イギリス、キプロス島、ロシア、スリランカなど、様々な国を巡った若菜さんの旅の記憶の断片が読める随筆集。

 

・街と山のあいだ

「murren」のサブタイトルにもなっている「街と山のあいだ」。もはや、この言葉は若菜さんを表現するキャッチフレーズといって過言ではない。山と渓谷社に編集者として勤めた若菜さんによる、山の本。

 

・東京近郊ミニハイク

山のガイド本。東京から日帰りで行ける山をセレクト。登山初心者にオススメ。

 

・東京甘味食堂

東京にある甘味食堂を取り上げた本。まだ読めてないです、すみません。

 

murren

若菜晃子さんが手がけるリトルプレス「murren(ミューレン)」。山のこと、旅のことなどが書かれている小冊子。サイズが小さくてかわいい。デザインもかわいい。文章もかわいい。特定の書店やカフェで販売されているほか、ネットで定期購読もできる。

murren vol.25 2019 October
『murren(ミューレン)』は、「街と山のあいだ」を...