野良本Vol.39 地球のなおし方 限界を超えた環境を危機から引き戻す知恵

地球について、考える時間を、行動する時間を、もっと。

1962年レイチェル・カーソンの「沈黙の春」が出版される。生物学者であるレイチェル・カーソンが、化学物質や農薬の危険性を本書で訴えた。

その43年後の2005年に「地球のなおし方」出版された。著者のデニス・L・メドウズとドネラ・H・メドウズが、壊れかけた地球を治すためのシステムをシュミレーションを交えながら本書で訴えた。

2006年に公開されたドキュメンタリー映画「不都合な真実」の前年にあたり、1992年のリオで行われた地球サミットでセヴァン・スズキさんの「伝説のスピーチ」から13年後、2015年に国連サミットでSDGs(持続可能な開発目標)が採択される10年前の出来事である。

私が「地球のなおし方」と出会ったのは、今から16年前、2007年の時であった。その時、私は本屋でアルバイトをしていた。

店長から「フェアやってみない?」と言われて、やってみることにした。選んだテーマが「環境問題」だった。フェアの棚の中心にこの本を並べた。フェア開催の記念に、とこの本を購入したのだが、それから10数年間は本棚のこやしになっていた。

猫も杓子もSDGsの言葉を目にし耳にする時代になった。人間の経済活動が活発になるにつれ、地球の環境が破壊されていく……。森林破壊、温暖化、資源枯渇、食料問題といった様々な問題は、今の私たちにとって存外「身近」になってしまった。

私は今、当時勤めていた本屋を辞めて、転々としたのち、食や環境問題にそれとなく関わる仕事に就いている。ふと、自宅の本棚を眺めていると、この本が気になった。仕事柄、このような本を読んでおく必要もあるだろう、と思い、「地球のなおし方」を再び手に取った。

「地球のなおし方」は2007年に書かれた本だが、今の世の中に通じる内容である。環境問題は気になるけれど、よくわからない……という私のような初心者の方には、ちょうどよいボリュームになっている。

地球の修復可能なラインを超えると、これらの問題はよりいっそう狂暴になり、私たち人類に牙をむく。そうならないために、人類は何をすべきか?

本書には地球をシステムに見立てた上で、人類の行動パターンをシュミレートし、とるべき行動の指針を示されている。

土地の汚染を防ぎながら工業生産をし、農作物の生産可能な土地を守りながら生産し、省資源のエネルギーを使う。そのような技術を駆使しても、やはり人類は崩壊の道を進んでしまう。

必要なのは「構造を変える」こと。最先端技術を駆使した上で、私たちの行動を制限することが求められる。
それは、出生数を抑え、生活水準を抑えること。

そして、そのアクションを如何に早く起こせるか……。

最近、「可能性は無限大」のような言葉がとてもキライになった。

すべては有限。だからこそ、大切にすべき、と思う。

 

書名 :地球のなおし方―――限界を超えた環境を危機から引き戻す知恵
出版社 ‏ : ‎ダイヤモンド社
著者 :デニス・L・メドウズ (著), ドネラ・H・メドウズ (著), 枝廣淳子 (翻訳)
発売日 ‏ : ‎ 2005/7/14