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野良本 Vol.37 ファーマーズハイ! 徒話を育てる農業家 / そがしんいち

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農作業をしていて「ハイ(灰)」になる瞬間を書き連ねた、笑える農業エッセイ!

2019年の夏、私は茨城県城里町で農業をしている高萩和彦さんの畑に出向き、草取りの手伝いをした。草取りとは、農作業におけるもっとも苛酷で単純な作業。こうした作業に長時間没頭していると、気分はハイに(もしくは灰に)なっていく……。それを高萩さんは「ファーマーズハイですね」と話していた。

それからいくばくかの時が経ち、とある熱帯雨林で本書「ファーマーズハイ! 徒話(むだばなし)を育てる農家」に出会う。

(ファーマーズハイか。高萩さんもそんなこと言っていたっけ)

出会った瞬間、夏の日の2019を思い出し、導かれるようにオレンジ色のアイコンをポチッと押していた。

本書が家に届いてからしばらくは本棚の肥やしと化していたが、今年の夏、同じように高萩さんの畑で作業をした後、自然とこの本に手が伸びて読み始めたのだが。

ナニコレ、オモシロイ!

書き手の「そがしんいち(曽我新一)」さんは、新潟県で曽我農園としてトマト農家をしており「金筋トマト」や「闇落ちトマト」等で全国的に話題になった人である。野菜の栽培方法や味だけではなく、その巧みな言葉のセンスで野菜というものに新たな価値を与えた人だ。

この「ファーマーズハイ!」は、そのそがさんが2009年4月から2014年2月まで新潟日報で連載していたエッセイを抜粋し、加筆・修正をしたもので、短く軽快な文章で小ネタを挟みつつ、農家の四季折々の「ハイ」になる瞬間が綴られている。

例えば、大便を我慢する話、痔の話……といった下の話から、トマトの裂果の話、害獣の話、直売所の話など農業にまつわる話。他にも、ちょっとした日常の話があって、それぞれの話にちょいちょい小ネタを入れてくる。

この小ネタというのが、まさに私の「年代」にハマるものだから困ったもので。ジブリやサザエさん、ドラゴンボールなどのアニメネタ、洋画邦画のネタ、大事マンブラザーズバンドなどの音楽ネタ。むむ! これは! と思い、ネットでそがさんのことを検索してみると1978年生まれとあり、私と一つ違いとわかり納得。

初版2014年と今から8年も前の本だが、アラフォー世代(といって良いよね?まだ)の人が読むとより楽しめる内容かもしれない。他、マリーアントワネットネタやら国内外の歴史ネタもあり、そがさんが農業人であるとともに、文化人であったことが読み取れる。

それらはまるで、落語家が枕で話す小噺のようで、読んでいるこちらの気持ちも明るくなる。

農家のハイになる話は、読み手をもハイにさせてしまうようだ。

今回紹介した本

書名:ファーマーズハイ! 徒話を育てる農家
著者:そがしんいち
初版発行:2014年10月
版元:株式会社ウィザップ
ISBN:978-4-903944-17-3

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