夏の草取りはつらいぜ! ※茨城県行方市での援農希望者募集中(2024/8/15)
茨城県行方市で農作業を手伝っていただける人(援農)募集中!
茨城県行方市の有機農家・塩田善一さんは農作業が追い付かず、草取りがあまりできていない状況です。有機JAS認証圃場のため、除草剤は使えません。そこで有機栽培で野菜を作っている塩田さんを応援するために、援農してくれる方を大募集します!
・頑張る有機農家を応援したい方
・無心で農作業(主に草取り)に没頭したい方
・援農が趣味の方
・茨城県の有機農家と触れ合いたい方
こんな方は、ぜひお問い合わせフォームからご連絡ください。
※報酬は基本的に出ません(ボランティアです)。
※宿泊先・食事の手配等もご自身で行っていただきます。
※イベント保険等もありませんので、作業中のケガ等は自己責任になってしまいます!
※援農可能日をメールに記載してください。
ご応募お待ちしております。
○ 今年の草取りと塩田さんはちょっと違う。
倉庫のドアを開けると、そこには一人のおっさんが寝転んでいた。「塩田さーん」と呼びかけてみるが、返事はない。どうやらおっさんは昼寝をしているようだ。
このおっさんは塩田善一という。茨城県行方市で有機JAS認証を取得している有機農家だ。栽培品目は小松菜と山ほうれん草。山ほうれん草は今年から栽培に挑戦している品目だ。
私は毎年夏になると塩田さんの畑に行き、草取りを手伝っている。もちろん、無償=ボランティアだ。世間一般的には、「援農」と呼ばれる活動にあてはまるのだろうが、私にはあまりそのつもりはない。どちらかというと「遊び」の延長である。
「ああ、どうも」と今年も塩田さんのテンションは低い。「やっぱり今年も(草が)取りきれなくてねぇ」とこぼす塩田さん。毎年のことだが人出が足りなくて草取りが間に合っていない様子。有機JASの畑だから除草剤は使えない。ハウス間の草を取らないと中で育てている葉物野菜の生育に関わってくる。背の高い草が日陰を作ってしまい光合成を妨げる。通気性も悪くなる上に、草が病気や害虫の温床となる可能性もある。
塩田さんの愚痴をそこそこに聞いて早速草取りを始める。いつもはひたすら手で草を引っこ抜いていたので、それはもう大変な作業だった。真夏の日中に長時間にわたって屋外で草を抜く。汗と土埃にまみれ、時には塩田さんのスマホが壊れ(一昨年のこと)、時には塩田さんが蜂に刺され(去年のこと)、毎年毎年散々な目に遭っている(主に塩田さんが)。だが、今年の草取りはちょっと違う。
「見てください、塩田さん。今年は秘密兵器を持ってきました」
私は車から秘密兵器を取り出した。それは、伝家の宝刀・三角ホーだった。
長い柄の先に、その名の通り三角の形をしたステンレス製の器具が付いている。
この三角の部分で草を払い、土を掘り起こすなどできる。一度に対処できる範囲が当然「手」の作業よりも格段に広く、要する力の量も少なくて済む。つまり、困難な草取りが楽になる。
三角ホーの姿を見て、塩田さんは「おお」と冷めた反応(これぞ塩対応)。そんな塩田さんに三角ホーの力を見せつけようと、私は腕を振るって(文字通り)三角ホーで草を刈る。
しかし、結果は想像と違った。細かな背の低い草は効果的だったが、背が高く太い草(セイタカアワダチソウのような)に対しては、一度や二度のアタックでは刈り取れず、1本刈るのに時間がかかってしまった。
「手で抜いた方が早くない?」
「そうですね……」
私は三角ホーを地面に置いて、今年もまた手で草を抜き始めた。しかし、毎年毎年こうして草を抜いてもまた翌年になると草は生えてくる。そういえば、今草を抜いているこの場所って、去年も草取りした場所でしたよね?
「今年はさ、草をその場から持ち出して防草シートを張ろうかと思って」
塩田さんが言う。いつもは抜いた草をそのまま置きっぱなしにしていたが、それでは翌年も同じように草が生えてしまう。だから、抜いた草はその場から持ち出して(当たり前かもしれないが)、抜き終わった場所に防草シートを張って来年は同じ場所をやらなくて済むように、と考えたようだ。防草シートは既に購入済みだった。
今年の塩田さんはちょっと違う。今年の塩田さんは男だぜ。この時、塩田さんから例年と違う何かを感じ取った。
○ 休憩談話
それにしても、真夏の炎天下での草取りはやっぱりきつい。1棟分の草取りを終えた頃には、全身汗でびしょ濡れ。これは決して誇張などではなく、上半身はもちろん、ズボンからパンツまで汗でびっしょりなのである。加えて草を抜く際に土埃も浴びるから……ひどいものだ。
1棟の草取りを終えて休憩に入る。水をごくごく、タバコをすぱすぱしながら、おっさん二人でいろいろと話す。
「最近、エガちゃんねるにハマりつつあってさ」
ラジオ好きの塩田さん、最近はYOUTUBEにもハマっているようで。
「エガちゃんねるは企画にお金をかけてるのがすごいよね。そして、視聴者にもイベントなどでちゃんと還元している。それにファンがちゃんと付いてきている」
「へぇ」と今度は私が冷めた反応(逆塩対応)。流行りものに疎いから、このような話題はよくわからん。塩田さんは元々メディアの仕事をしていたから、農家になってからもメディアの流行や面白いメディアに対して、アンテナを常に張っている。
「よくある登録者が多いユーチューバーは高級〇〇を買ったとかいい家に住んでるとか、演者の羽振りの良さをひけらかすようなのが目立ったり、大抵のネタがドッキリのパターンだったりと。それに比べると、さっき言ったようにお金のかけ方とか構成が抜群に違うなぁっていう感じがしてる」
お金を使うことやワンパターンな企画で視聴者を楽しませるのではなく、純粋に企画自体にお金を使って視聴者を楽しませているってことか。江頭2:50が今そんなことやってるなんて知らなかった。
「最近さぁ、思うのよ」
塩田さんが続ける。
「何者かにならないと、何にもならないってことに気付いたのよ」
最後まで話を聞かずとも、共感できる言葉だった。
「SNSのフォロワー数とか見ていてもさ、フォロワーが多い人は芸能人はもちろんだけど、一般人の場合『何者か』に既になっている人なんだよね」
塩田さんのいう「何者か」とは、つまり「何かで生計を立てられている人」である。一芸に秀で、その一芸でもって生活を成り立たせている人。そして、それが継続できている人。そういう人の発する言葉は自信満々で説得力が違う。だから、皆が注目する。ところが、その「何者か」になれていないと、うわべだけの言葉になってしまい、発信力が弱くなる。例えば、農家として生計を立てている人がSNSを発信することと、農家ではない人が農業をSNSのネタとして発信することの違いだ。
「なるほど、深いっすね兄貴。じゃあ続きをやりますか」
塩田さんの言葉に共感しつつも、この日の私は少しでも草取りを進めたくて仕方がなかった。有機農家のおっさんの収量を少しでも上げるために、今必要なのは「草取り」だと思ったから。
○ Weeder’s high
私は次のハウスの合間に生えた草を取りに取り掛かった。塩田さんはというと、広い場所に生えた草を刈払機で刈り始めた。やはり、今年の塩田さんはちょっと違う。なんかこう、やる気がみなぎっている、というか覚悟が決まっている。
それから少しして。
「じゃあさ、その前に台風が来ているからそっちの準備も手伝ってもらっていい?」
ドサクサに紛れて、このおっさんは別の仕事も頼んできた。草取りだけで既に草臥れているというのに。いいよ、やりますよ、やってやりますよ! こちとら水戸っぽでぃ!
接近していた台風7号の対策として、ビニールハウスの補強を手伝い、それを終える頃には空が少し赤みを帯びだしてきた。18時頃だっただろうか。時間的にも作業の区切り的にもそろそろ作業を終えていい頃合い。でも、今日はこれまでにハウス一棟分と少しの草取りしか終えられていない。それでいいのか、私。援農したと言えるのか、草取りをしたと言えるのか。
「残りの分も草取りしちゃいましょうか」
「いいの? やっちゃう?」
こうなりゃ意地だ。というか、疲れ切っていてもはやハイだ。最後までやりきってやる。
という訳で夕暮れ時に草取りを再開。次の草場には途中で背の低い草ばかり生えているエリアがあった。
「これは……これならば……」と私。
「あれの出番だね」と塩田さん。
私は三角ホーを再び手にして、背の低い草を薙ぎ払っていった。草を薙ぎ払っていたら、何故だかだんだんおかしくなってきた。
身体はもうボロボロであちこちが痛い。それなのに、何故だか楽しい。三角ホーを振り下ろす度に、草がなくなっていく。草がなくなるごとにハウスの農産物の生育が良くなっていく(はず)。少しずつゴールに近づいていく感覚。草を刈るのが楽しくてたまらない。
おかしくてたまらなくなって、私は笑いながら草を刈った。そして、低い草を刈り終ると、力尽きた。もはや握力がなくなり、セイタカアワダチソウを引き抜く力も残っていない。
「あとは塩田さんお願いします」
残りの草はあと、1/4棟分くらい。背の高い草を塩田さんに任せ、私は刈り取った草の運び出しをした。少しすると、塩田さんが草を抜き終わった。さすが農家である。私なんかと違って、無尽蔵の体力だ。
すると、草でふさがっていた向こう側の景色が見えた。日が落ちてしまって薄暗い風景だったけれど。トンネルが開通したような、そんな感動があった。
終わった。やりきった。
湧き出る達成感。小さな成功体験。それらによって生まれる自己肯定感。
「おつかれさまでした~」
「ありがとう。年に一度と言わず、また来てね」
いやいや、今日の農作業はさすがにくたびれた。しばらくNO作業だ。
……という訳で、筆者の代わりに草取りしてくれる(援農)方、募集中!
くどいようですが。茨城県行方市の有機農家・塩田善一さんは農作業が追い付かず、草取りがあまりできていない状況です。有機JAS認証圃場のため、除草剤は使えません。そこで有機栽培で野菜を作っている塩田さんを応援するために、援農してくれる方を大募集します! ここまで読んでいただいた方は、きっともう援農したくてたまらないはず! ぜひ、茨城県で援農しましょう!
・頑張る有機農家を応援したい方
・無心で農作業(主に草取り)に没頭したい方
・援農が趣味の方
・茨城県の有機農家と触れ合いたい方
こんな方は、ぜひお問い合わせフォームからご連絡ください。
※報酬は基本的に出ません(ボランティアです)。
※宿泊先・食事の手配等もご自身で行っていただきます。
※イベント保険等もありませんので、作業中のケガ等は自己責任になってしまいます!
※援農可能日をメールに記載してください。
ご応募お待ちしております。