水戸市・安国寺の枝垂れ桜(ライトアップ)を見に行く(2025/4/5)

安国寺の枝垂れ桜(2025/4/5)
夜の安国寺には、警備員のような者がいて車の誘導を行っていた。誘導を行うくらいに、枝垂れ桜のライトアップを目当てに人がやってきていた。車を停めて、妻を連れて、境内を歩く。すぐに枝垂れ桜が目に入る。枝垂れ桜は人口のヒカリに照らされて、満開の花が煌々と輝いていた。
山門の近くには、さらに大きな枝垂れ桜が満開に花を咲かせて植わっていて、山門の前は桜をカメラで撮る人でにぎわっていた。山門から見る桜が見事なのか何なのか、何も知らない私たちは山門をくぐり向こうに出ようとすると、山門の下の石が水で濡れていた。

山門から枝垂れ桜を撮る
私はじゃぶじゃぶと足で水たまりを踏んで遊んだ。後から気づいたのだが、その水は寺の人がわざと撒いたものであるらしかった。水面に反射して向こうにある枝垂れ桜の花が映るのが美しくSNS映えするということで、皆が山門前に群がって写真撮っていたのだが、それを私たちは知らずとはいえ邪魔してしまっていた。すみません。

枝垂れ桜の真下から
山門をくぐると、見事な満開の枝垂れ桜の真下に出る。見上げると、星のように、いやそれ以上に桜の花が視界目いっぱいに広がっている。幻想的で素晴らしい眺めだ。
「これはすごい!」
私は思わず声に出して、パシャパシャと写真を撮った。その隣で、妻は腕組みをしてぼんやりと桜を眺めていた。
「どう?」と妻に聞いてみると、腕組みをしながら「寒い」とだけ答えた。
満開の桜の下で、寒気を感じるとは。坂口安吾の小説「桜の森の満開の下」を思い出すと、私も少し寒気を感じた。この後妻が山姥になって私の首を締めやしないか、びくびくした。
Canon EOS 8000Dのディスプレイで、この妖艶な枝垂れ桜の写り具合を確認すると、桜の花が実際よりも白く写っていた。実物はもう少しピンクをしているのにな。この素晴らしい桜の色をどうにか写真におさめられないものか。
そう思うと同時に、今度は梶井基次郎の「桜の樹の下には」を思い出してしまう。この桜の樹の下には、ひょっとしたら。だからこんなにも美しい色をしているのではないか。
安国寺の枝垂れ桜の満開の下で、星空のように広がる桜の花を見上げながら、また少し身震いをした。
「桜」の小説
粗暴な山賊と狂気をまとった美しい女の怪奇小説。美しい桜の森の下には不思議な空気が流れていて……。たんたんと進む話の中に、残酷さと美しさが入り混じっている。


表題作の「檸檬」の他、「城のある町にて」「ある崖上の感情」「桜の樹の下には」を収録。


「桜」の本



