農家×二ノ宮知子=こんなにも愉快な世界に!
農村に住みたくなる?二ノ宮パワー全開の農業漫画
私がこのGREENという漫画を手に取ったワケは、農家が題材だったからではない。
当時(いつだかは忘れたが)この本を読んだ頃は、農家に興味がなくはないが、特別興味があるというわけでもなかった。
(その後に自分でやることになるなんて、思ってもいなかった)
そんな私がGREENを読んだ理由は、二ノ宮知子先生のファンだったから。
ブームを巻き起こしたクラシック漫画「のだめカンタービレ」から始まり、ビジネス好き高校生が主人公の「天才ファミリー・カンパニー 」を読み、飲んだくれコミックエッセイ「平成よっぱらい研究所」と続いて、農家を題材にした漫画「GREEN」を読んだ。
こうして並べてみるとわかるが、二ノ宮先生の選ぶ題材は、どれも「濃い」。クラシック、ビジネス、酒飲み(?)、農家……。そして、その後は質屋やオーバークロッカーの漫画を描いている。
このような題材を選ぶと、描くのに大変そうだが……。そこは二ノ宮先生の取材力が光る。
しっかりとした取材で、マニアックな題材を初心者にもわかりやすく、面白く漫画にしている。だから、読んでいて、知らない世界のことを知ることができる。それに加えて、声に出して笑ってしまうほどのギャグセンス。
面白い上に、勉強になるなんて! こんなすごい漫画は読んだことがない!
しかも、知識としてだけではなく、行動に移したくなってしまうほどの影響力を、二ノ宮漫画は持っている。
実際に私は、のだめを読んで、クラシックCDを買ったし、天ファミを読んで、ビジネス雑誌を買った。
酔っ払い研究所を読んで、飲み歩きをし、GREENを読んで、農家に興味を持った(ゆくゆくは始めた)。
漫画とはいえ、侮れない影響力である(私が影響されやすいだけかもしれないが)。
農村が舞台のラブコメ
さて、この「GREEN~農家のヨメになりたい~」の内容はというと、コテコテのラブコメディである。普通のラブコメと違うところは、農村が舞台になっているところか。
舞台は秩父の農村。そこにキャンプに来ていた主人公のワコが、偶然若手農家の誠と出会うところから物語は始まる。割とあっさりと二人は両想いになり、その後は農村独特の「色濃い」文化や人々をまじえて、「色恋」の物語が進んでいく(お粗末)。
有機農家、観光農園、しいたけ農家…。消防団、地域のお祭り、地域の旅行、後継者問題…。野良着ファッション、虫騒動、野菜泥棒…。
舞台が農村なだけあって、登場人物や出来事も農村ならでは。農村に住んだ経験がない人にとっては、まるで異国のファンタジーを読んでいるかのよう???
そして、最後は衝撃的(笑撃的?)なラストが待っているのだ(下ネタ)。
農村に住む人々、そこに根付いた文化、風景といった要素が、心底笑わせてくれて、心を和ませてくれる。
GREENを読めば、汚れた心をCLEANにしてくれるはずだ(再びお粗末)。
今回紹介した本
- 出版社 : 講談社
- 著者 : 二ノ宮知子
- 発売日 : 2000/1/13