日本百名山・日光白根山に登って心の洗濯をする(登山日2020/8/29)
日光白根山・コース概要
山の名前:白根山(別称:日光白根山・奥白根山)
山域:日光山系
標高:2,578m
コース:丸沼高原スキー場 → ロープウェイ → 山頂駅(標高2,000m)→ 二荒山神社(8:20スタート!)→ 七色平分岐 → 森林限界(絶景)→ 日光白根山・山頂(20分くらい山頂渋滞)→ 鞍部・座禅山→血の池地獄→山頂駅(13:20ゴール)
特徴:日本百名山・関東以北で最高峰の山・森林限界・天空の足湯
山の効能
「山」には様々な効能がある。
山の話をするだけで、心がすっきりと晴れていく。
イライラしたり、焦ったり、そんなことがなくなって、不思議と気持ちが落ち着く。
山に行く準備をしていると、心が弾む。
コースを調べ、服装を決めて、持ち物を決めて。
ワクワクしてついつい寝不足になりがちなのはご愛敬。
山に登っている最中は、その景色を楽しむことと安全に登ることに意識が集中し、日常の不安や苛立ちは頭から一切離れる。
夏の森の中を歩けば、緑に癒され、心落ち着く。
冬の森の中を歩けば、落ち葉を踏みしめる感触心地よく、葉の落ちた木々の隙間から見える澄み切った空にまた、心落ち着く。
頂上からの大展望には、何もかも忘れてしまうくらいの感動を覚える。
無事に下山した後は、達成感と満足感で心が満たされる。
下山後のごはんはこの世のどんな食べものよりもおいしく感じ、お風呂は至極の癒しを与えてくれる。
疲れ切った後にむさぼる睡眠は、とてつもなく心地よい。
山に登った次の日は、疲れているはずなのに不思議と身体が軽くなり、よく動く。
このように、「山」には登る前から登った後まで、実に様々な効能がある。
ちなみに、標高が高く名山と呼ばれる山となると、「山の効能」は自然と高濃度になる(効能だけに)。
日光白根山の効能
8月の終わりの週末に、日光白根山に登ってきた。
栃木県日光市にある日光白根山は、標高2,578mの関東以北で最も高い山である。ということは、関東地方のどの山よりも高いだけではなく、東北地方の鳥海山やら尾瀬の燧ケ岳などよりも高く、北海道の大雪山連峰のどの山よりも高い。
当然、日本百名山にも数えられ、休日は多くの登山客で賑わう人気の山だ。登山コースはいくつかあり、一番手軽なのは丸沼高原スキー場から出ているロープウェイを使うコース。標高2,000mまでひとっ飛びできてしまうという手軽さも、人気の要因の一つであろう。
私たちも丸沼高原スキー場から、日光白根山の山頂を目指す。
思いのほかスピードが出るロープウェイにまず驚く。
到着した山頂駅付近には、カフェやら天空の足湯やらがあって、その観光地然とした姿に驚く(いや、立派な観光地なのだろうが)。
気温が明らかに低いことにも驚く(猛暑が続く下界の気温は、この日も30℃を優に超えていた)。
そして、雲間から顔をのぞかせる日光白根山の雄大な姿(そして、高さ)に驚く。
驚くこと尽くめで始まった日光白根山登山。
スタート地点から続く苔むす森の中を歩く山道は、ひんやりとした空気に包まれていて、屋久島を彷彿させるような雰囲気で、歩くだけで心がウキウキしてしまう。
森を抜けると、森林限界へ。
ぱーっと広がる異世界のような景色。そこは神様が本当に住んでいそうな荘厳さが漂う。神様が「こんにちは」と挨拶してきたところで、何ら不思議に思わない。
森林限界へ出た瞬間、私は思わず走り出し、夢中になって神々の住む世界を写真に収めさせてもらった。
同行したHは初めての森林限界だったので、その景色にえらく感動していた。私は何度目かの森林限界であったが、それでもやはり、えらく感動した。森林限界の風景は、何度見ても、何度歩いても感動してしまう。
山の高さは、既に雲と同等かそれ以上になっているから、雲の中を歩くことになる。「雲の中で散歩」とはこのことか。(映画内容とはまるで一致しないが。ちなみにキアヌ・リーヴス主演)
とにかく、この景色を見ることができ、歩くことができて、私の心はキレイさっぱりに洗濯された。熊のファーファには申し訳ないが、柔軟剤など使わなくてもフカフカな気持ちになった。
さすが、日本百名山。
さすが、日光白根山。
その効能は、生涯にわたって効き目がありそうなほどである。
ガスっていて頂上からの眺望が期待していたものではなかったとか、
山頂を踏むのに混雑していて20分くらい待たされたこととか、
下山中に転んだこととか(しかも二度。一度転んで立ち上がろうとしてまた転ぶ)、
転んだ姿を見た見知らぬ人に苦笑いされたこととか、
あまりの恥ずかしさを紛らわすためにその後Hに悪態をついたこととか。
そのような登山中に起きた些細な不幸も、すべてきれいさっぱりとなかったことのように忘れさせてくれた。
また、
行き帰りの車の運転中、同行したHが助手席でしこたま酒を呑んでいたこととか、
Hは下山後も山頂駅のレストランで酒を呑み、帰りのラーメン屋でも酒を呑んでいたこととか、
酔っ払いのHの相手をしながら、行きと帰りの運転をし続けてぐったりと疲れ果てたこととか。
そのような登山日に起きた些細な不幸も、同じようにきれいさっぱり……なはずだ。