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野良本 Vol.28 菌の声を聴け / 渡邉格・麻里子

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「菌の声を聴け(ミシマ社)」を買い、読む

★「菌の声を聴け」の購入にいたるまで

昨年、「バウルを探して(三輪舎)」を読み終えてから、川内有緒さんが気になっている。
「空をゆく巨人」を続けて読んで、新刊の「目の見えない白鳥さんとアートを見に行く」も購入した。

川内さんは実体験(旅や海外移住)や取材をもとに文章を書くノンフィクション作家さん。「空をゆく巨人」を読むと、本当によく取材しているなーと感じる。川内さんは立派な経歴をお持ちの上に、普通はできない体験をしてきた人なんだけれど、それでも文章がとても読みやすい。私みたいな無学な人間でもすらすらと読み進めることができる。ありがたや、ありがたや。

川内有緒さんの本にハマったのは、旅とかアートとか私にとって憧れの存在を書いているから、それでいて読みやすくわかりやすく、惹きこまれる文章だから。

今回の野良本「菌の声を聴け 」の存在を知ったのは、川内さんがツイッターで紹介していたから。憧れの作家さんが勧める本で、しかも発行元はミシマ社さん。「菌の声を聴け 」ってタイトルからして面白そう。「菌の声」を聴くって、もやしもんの沢木惣右衛門直保が主人公ではあるまいな(わら)。てか、私の菌の知識はもやしもんで得た程度……。

でも、仕事でパン屋さんとつながりあって、天然酵母とか良く知らないけれど言葉だけは良く聞くし。これは、私にとって必要な本ではないか?だけれども、積読本がたくさんあるし、そっちを消化しないと……とめっちゃ葛藤しながら、購入に二の足を踏んでいた。

しかし、結局買ってしまった。ふらっと立ち寄った柏の蔦屋書店で盛大に面陳されている「菌の声を聴け 」に出くわす。

こ、この本は……!
川内さんがツイッターで紹介していた本ではないか。

川内さんが推していて、ミシマ社の本で、菌とかちょっと興味がある分野で、柏の蔦屋がプッシュしていて(柏の蔦屋はハイセンス本屋さんなのだ)……しかも、サイン本!

買うよ買うよ、買いますよ。そこまで私の「欲しい本アンテナ」に執拗に絡みつくなら買うしか手段がないじゃないですか。

いそいそとレジに「菌の声を聴け 」を持っていく。てゆーか、蔦屋も無人レジになってるのね、最近は。

スーパーでもあるけれど、結構これって戸惑うんだよね……ぴっぴっ(本のバーコード読んだりする音)……じじじっ(レシートが発行される音)。おっ、何とかすんなり会計を終えられそうだ。

あとはレシートをもらって終了……って遅いな、レシートが出る速度が!短気な私はずるずるとゆっくり出てくるレシートに耐えられず、えいやっと無理やり引き抜こうとすると、ピタッとレシートの排出が止まってしまった。そして、画面には「従業員をお呼びください」的なメッセージが。

やばい、逃げよう。ただでさえ不安いっぱいだった無人レジの会計で、アクシデントに見舞われ気が動転した私は、そのまま店を後にした。

ごめんなさい!蔦屋さん!

この場を借りてお詫びします。

★「菌の声を聴け」ってこんな本

書名:菌の声を聴け タルマーリーのクレイジーで豊かな実践と提案
著者:渡邉格・麻里子
発行日:2021年5月28日初版発行
発行所:株式会社ミシマ社
価格:1980円(税込)

「菌の声を聴け タルマーリーのクレイジーで豊かな実践と提案」を購入する

川内さんは先述したように「作家」さんで、書くことを生業としている人だが、「菌の声を聴け タルマーリーのクレイジーで豊かな実践と提案」の著者は作家ではない。著者の渡邉格さんと麻里子さんはパン屋さんである。だが、普通のパン屋ではない。山奥の小さな町に住み、野生の菌のみで発酵させてパンを作り、ビール造りまでしているパン屋さんである。

そのちょっと不思議なパン屋さん「タルマーリー」を経営する渡邉格さんが、菌の声に耳を傾け、パンを作り、ビールを作る。千葉、岡山、鳥取と渡り歩いて来た経緯や野生の菌を使うに至った話、バイクで事故を起こした話、DIYの話などなどが書かれている。

以下、印象に残っている言葉。

「機械導入と技術向上によって、原料の調達から食品加工までを地域で完結させる仕組みを『無から有を生むシステム』と呼んでいる」(引用元:菌の声を聴け)

これは我がブログのメインコンテンツ「城里町の高萩さん」「究極の地産地消」と通じる部分がある。

「資本主義社会で独立をするための武器が、機械と技術なのだ」(引用元:菌の声を聴け)

今の社会で本格的に山村で生活をするには、昔ながらの手作業だけでは暮らしていけず、「機械」に頼らねばならないという現実。
(どちらも最終章からの抜粋だから「ちゃんと読んだのか?」という疑惑がもたれそうだが、ちゃんと読んでます(笑))

エピローグでは格さんの妻である麻里子さんが、鳥取での暮らしぶり、家族の話などを書いていて、これが実にほほえましい。タルマーリーのある鳥取県智頭町は小さな山村だけれども、意欲的な人々がたくさんいて、皆で集まって地域活動をしていることも描かれていて、城里町の高萩さんよろしく、このような地方に住む人々の活動は全国に広まっているのだなぁと感じた。

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