そば家・麦藁の蕎麦と袋田の滝

常陸大宮で蕎麦を食い、大子の袋田の滝を眺める小さな旅へ

そば家・麦藁

そば家・麦藁(むぎわら)。茨城県常陸大宮市山方956−1

ああ、蕎麦が食べたい!

無性に蕎麦が食べたくなることがある。そんな時は、茨城に住んでいて良かった!と心から思う。

茨城県は蕎麦の産地である。蕎麦の収穫量は全国3位(北海道、長野に次ぐ)であり、「常陸秋そば」というブランド品種がある。旧・金砂郷町(現・常陸太田市)発祥のこの蕎麦は、ほんのりとした甘さと香りが特徴で、茨城県の蕎麦屋で食べられる蕎麦のほとんどが「常陸秋そば」である。

さて、蕎麦が食べたい。
近場の蕎麦屋でもいいのだが、どうせならちょっと遠出をしたい。常陸秋そばの発祥地・常陸太田市で食べるのもいいが、そのすぐお隣の常陸大宮市で以前にうまい蕎麦屋を見つけたっけ。

H氏のソロキャンプ見学のついでもあるから、常陸大宮市の蕎麦屋でいいか。はて、あの蕎麦屋の名前は何と言ったか。ワンピースに関連した名前だった覚えがあるが……とネットで検索してみたところ、「そば家・麦藁(むぎわら)」であることがわかる。

麦藁は、国道118号をずいずいっと北に向かって進み、常陸大宮の中心部を抜け、そのちょっと先にある「山方宿」にある。山方宿はその名の通り元々は宿場町であったので、国道を少し斜めに外れた道にはその面影が残っていて、なかなかに風情がある場所だ。

江戸時代の香りを残す宿場町で、常陸秋そばの香りを楽しみながら、江戸っ子風に蕎麦をすする。何とも良いプランだと思い、常陸大宮市の「そば家・麦藁」に行くことに決めた。

麦藁では、私は山菜そばを、ツレは天ざるを食す。常陸大宮市は山の多い地域でもあるから、山菜そばなどいかがだろうと決めた。

山菜そば・800円、天ざる1,300円と値段もそれほど高くない。大盛りはプラス200円也。

山菜そば

天ざる

ワラビが入った蕎麦をすすり、ツレが残した天ぷらと蕎麦もいただき、腹が充分に膨れる。ここの蕎麦は、麺に味がほんのりと乗っかっていて、上品な感じがする。特にそれが顕著なのが、冷たい蕎麦ではなかろうか。ツレの天ざるをいただいた時に、麦藁の蕎麦の偉大さを感じた。

「蕎麦を食う」という目的を果たし、腹が膨れて気持ちも満たされた。だが、せっかく常陸大宮まで来たのに、このまま帰るのもいかがかしらん。そう思って、少しばかり北に向かってドライブをすることにした。

袋田の滝

観瀑台によって角度が変わる。

この「少しばかり」の尺度が人それぞれというもので。
10分程度なのか10キロ程度なのか、それとももう少し多いのか少ないのか、何とも曖昧なものである。あとちょっと、あとちょっとだけ、なんて車を走らせていると、道路標識に「袋田の滝〇〇キロ」なんて出てくる。そうなると、「せっかく来たのだから」という心情にまたしてもなってしまい、袋田の滝まで行ってしまおうか、となったわけである。

さて、袋田の滝である。
生瀬富士~月居山に登った時は、袋田の滝を上から眺める、なんて洒落たことをやったものだ。だが、こうして、観光として袋田の滝を正面から眺めるのは案外久しぶりなもので、日本三名瀑が住んでいる県にあったとしても、それを有効利用できていないことに気づかされる。

観光地然とした袋田の滝付近。歩いていてわくわくする。

袋田の滝付近は、茨城には珍しく観光地然とした街並みをしていて、歩いていて気持ちがいい。それに、久しぶりに正面から眺める袋田の滝も、観光地としてなかなかのものである。

水が白く細く流れ落ちる様は、まさに白糸。徳川光圀や長塚節らが、この滝を「しら糸」「白糸」と詠んだそうな。

その白糸をぼんやりと眺めていて、こんなことを思った。

ああ、ソウメン食べたい!

「恋人の聖地」にもなっている。