蕎麦と盆

墓参りの後は蕎麦に限る~水戸市「一生」で蕎麦を食う~(2022/8/16)

お盆にお蕎麦が食べたくなるのは、私だけではないはず。だって、お盆に蕎麦屋に行くと、決まって混雑しているんだもの。きっとお盆時期は暑いから、さっぱりしたものが食べたくなるんだと思う。

お盆には母と一緒に墓を参るのが恒例だ。墓は笠間と土浦、牛久にあるから、それぞれを回る。一辺に全部の墓を参ることもあれば、分けて参ることもある。

墓参りが終わるころに、ちょうと昼時、もしくは昼過ぎになる。当然どこかで飯を食べようとなるが、一番多く行くのが蕎麦屋である。

今年も同じような感じで蕎麦屋に行こうと思ったが、阿見町近辺の蕎麦屋「木鉢房」と「大名」は混雑していて席が空いていない。並ぶのは面倒だからと他を探せど、お盆だからあまりお店が開いていない。

今度は店を探すのが面倒になり、通りにあったラーメン屋に入るとそこもやっぱり混んでいた。けれど、また違うお店に行くのが面倒だから、諦めて並んで待つことにしたが、それならば蕎麦屋に並んでいればよかったと思う。

しばらく待って、ようやく出てきた冷やし中華を食べる。母はチャーシューメンを頼んだ。
私は大盛りをぺろりとたいらげる。母の方を見ると、進みが遅く麺が半分くらい残っている。

「どうした?」と聞くと「入れ歯を忘れて食べにくい」と言う。やれやれ、と思う。母は麺を少し残し、店を出ることにした。

「御馳走するよ」大人な私は母の分の勘定も持つ。我がまま放題で育ってきたので、この時くらいは恩返しをしたい。

しかし、手持ちのバッグを開けて財布を取り出そうとすると「あれ?」となる。財布がない。財布を車に忘れてきてしまったのだ。やれやれ、と思う。

次の日。亡き父を送りに墓を参る。墓を参った後、やはり蕎麦が食べたくなった。与三郎庵に行こうと思い、電話をしてみたら電話に出ない。ならば、近場の「一生」に行こう、となった。

一生に行くと、オープン(11:30)前なのに車が何台か停まっていた。母は待ちきれず店の戸を開けようとするが開いていない。車に戻ってくればいいものを、戻ってこずにそのまま店の前で待っている。

時間になると戸が開いて外で待っていた数人とともに店に入る。きのこ蕎麦が店主イチオシのようだが、天ざるが食べたいと母が言うので私もそれに倣う。

店には漫画がいっぱいあった。ついでにガンダムのプラモデルやらドラゴンボールのフィギュアやらがショーケースに入って並んでいる。子どもの趣味か、いや、店主の趣味か。私もその世代であるのから、好感を持ってしまう。

一生の天ざる

程なくして。天ざるが出てくる。蕎麦は太目の田舎蕎麦。ツユはたっぷりでちょっと辛め。天ぷらはエビ、茄子、レンコン、サツマイモ、大葉などがあり、サクサクした衣で私好みである。

大盛りの蕎麦をあっという間にたいらげる。うまい、実にうまい。蕎麦は何でこんなにうまいのだろうか。
お盆に食べるからうまいのだろうか、否、お盆でなくても私は蕎麦ばかり食べている。

ふと母の方を見ると、随分蕎麦が残っている。

「どうした?」と聞くと「入れ歯を忘れた」と母は言う。

やれやれまたか、と思う。慌ててバッグの中身を確認すると、今日は財布がちゃんとあった。

 

 

岩間街道沿いにあります。

手打ちそば・うどん 一生(いっせい)
住所:茨城県水戸市鯉淵町3093−5
営業時間:11:30~15:00