正月に、那須 

一石二麺三ジブリ……正月の那須に行くと、ちょっといいことがあるかも(2024/1/2)

一富士二鷹三茄子。正月の初夢に見ると縁起の良いものは、富士山、鷹、茄子と言われている。

また、正月にやってはいけないこともあって、それは、掃除、四足歩行の動物の肉を食べること、刃物を使うこと、ケンカ、お金を使うこと、煮炊き料理だという。

逆に、正月にやるといいということもあって、初詣や書初めなどがそれにあたるらしいが、2024年の正月に那須に行ってみて、「正月に那須に行くとちょっといいかも」と思ったので、個人的に「正月に那須に行くこと」を正月にやるといいことに加えたいと思う。

名付けて、一石二麺三ジブリ。その詳細は、以下に(如何に)。

 

1.宝石探し トレジャーストーンパーク

正月の那須は、夏の那須と比べてだいぶ閑散としていた。車は混雑していないし閉まっているお店も多いので、心配になる。

「営業していなかったらどうしよう」

「どこか別の場所を探すしかないね」

なんて奥方のM子さんと話していたのだが、目的地である「宝石探し トレジャーストーンパーク」に着くと、駐車場は車でいっぱいだった。警備員が交通誘導するほどの客の入りである。

「嘘でしょ。正月に石探しに来るなんて、なんて物好きな」

思わず口にしてしまったが、お前が言うなという話である。

待ち時間は5分。車の混雑ぶりを考慮すると、だいぶ短い。職場の先輩が別の季節に訪れた時は、待ち時間が3時間だったというから、その日はだいぶ空いていたのだろう。

冒険心をくすぐらせる建物の中に入り、クリスタルリバーの受付(一人800円。安い?)を済ませると、小さなバケツと小さなスコップを渡される。しばらく待つと、スタッフの誘導に従い別の場所に移動した。

そこは、開けた空間で室内にはぐるりと小さな川が流れていた。この川の底に「お宝」が眠っているという。

私たちはスコップで川底に敷かれた砂を掬い、または均す。そうすると、時折色のついた小さな石が見つかる。

紺、ピンク、透明、水色、オレンジ……。

ラピスラズリやターコイズ、水晶といった天然石たちである。

色とりどりの石はまさに「宝石」のように輝いて見えた。宝石を見つけるとそれを拾ってバケツに入れ、また砂を掬い、または均して次の宝石を探す。

何とも地味な作業だが、とても面白い。私も奥方も子どもたちも、皆夢中になって宝石を探した。

(あれ、ちょっと待てよ。この作業、何かに似ているな)

「ビーチコーミングと同じだ」

と私が言うと、「そうだね」とM子さんも同じ印象を抱いていたようだ。

川底に沈む天然石探しは、砂浜でシーグラスや貝殻を探している時と、そっくりであった。

ただ、ひとつ大きな違いがある。

それはここ「トレジャーストーンパーク」のクリスタルリバーには、「伝説の鍵」が隠されているのだ。その鍵を見つけるとクリスタルのプレゼントがある、とスタッフが事前に説明していた。

私は天然石をそこそこの数集め終えると、血眼になって「伝説の鍵」探しを始めた。

クリスタルが欲しい訳ではない。「伝説の鍵」を探し出したいのだ。

「伝説」なんて聞いてしまうと、男子ならば(おっさんだけれど)誰だってわくわくしてしまうに違いない!

ってな訳であちこち動き回って鍵探しをしたが、一個も見つからず。そうこうしているうちに制限時間の20分が過ぎて、ゲーム終了となった。

「楽しかった?」と家族に聞くと「うん」と返ってきた。

「でも……」とM子さんが続けた。

「貴方ほどには楽しめなかったかも」

服を濡らし(手で川の中を漁っていたから)、ズボンを汚した(膝をついて四つん這いで探していたから)私の姿を見て、奥方はそう言った。

宝石と伝説の鍵探しなどすれば、良い歳をしたおっさんも少年の心に戻ってしまうのは、致し方ないことだと思う。

 

宝石探し トレジャーストーンパーク

 

2.那須ラーメン

宝石探しのあとは、那須で昼飯を食べた。

私を除いた家族全員が食にウルサイ(=好き嫌いが多い)人たちばかりだから、店選びに困る。悩んでいると面倒になったので、ファミレスで良いか、といつもの結論に至る。

しかし、ココス(=ファミレス)に着くと、これまたバカみたいに混雑していたので、嫌になった。

「那須まで来て、ファミレスに行くなよ」

思わず溢したが、お前が言うなよ、という話再びである。

仕方がないから通りすがりのラーメン屋に入る。

この時はラーメンが食べたい気分だったので、那須まで来てラーメンかよ、とは思わなかった。

入ったお店は「やま吉 那須本店」。ラーメンとステーキ・ハンバーグのセットが食べられるお店だった。値段は2,000円から3,000円くらいするので、そこそこな値段である。そこそこな値段なだけあって、味の方はなかなかおいしかった。

特にラーメンがうまい。

「那須ラーメン」と看板に書かれていたが、はて、那須に独自のラーメンなどあったか知らん。

さておき、この那須ラーメンの麺が良い。麺がちぢれていて、懐かしい味わいだった。

最近の流行りのラーメン屋とは違う、これぞラーメンといった味に感動した私は、きれいさっぱりスープまで飲み干してしまう。糖尿だから塩分控えないといけないのに。

前言撤回。

那須まで来たら、ラーメンを食うべし。

 

やま吉 那須本店

 

3.となりのトトロのぬいぐるみ展(那須テディベア・ミュージアム)

さて、目的の宝石探しを終えて、飯も食べた。これで「正月に家族で那須に出かけた」という事実を作り、役割をまっとうしたからちょっと時間は早いけれど帰ろうかな、と思っていた。

すると、「ここに行きたい」とM子さんから指令が下る。

「ネコバスに乗って、モフモフしたい」

M子さんが言うと、「モフモフしたい」と子どもたちが続けた。

皆が行きたいと言うのは、那須テディベア・ミュージアムで開催している「となりのトトロのぬいぐるいみ展」であった。

「ネコバスでモフモフしたい」なんて、かわいいことを言うものだ。

ふっ、M子さんもまだまだ子どもだな(子どもは当然子どもであるが)。

ミュージアムに着くと、そこそこな値段の入場料を支払う(一人1,500円)。テディベアの展示をモフッと見る。M子さんはクマが好きなので、かわいい、かわいいを連発していた。

続いて、となりのトトロのぬいぐるみ展を見る。こちらは、トトロの名シーンがぬいぐるみで再現されていた。

「トウモコロシだ!」

「まっくろくろすけだ!」

「ここは、あのシーンだよね」

なんて言い合いながら、楽しく展示を見させていただいた。

そして肝心のネコバスである。巨大なネコバスが展示されていて、実際に人が乗れるようになっていた。

ここでモフモフするのがM子さんの願いだった。

さぁ、その願いを叶える時が来たのだよ! 

ネコバスに触れるM子さん。

「どうだった?」と聞くと「意外に硬かった」。

モフモフはできなかったので、ぬいぐるみコーナーでモフモフしたぬいぐるみを買い与えることにした。

しかし、高いなジブリのぬいぐるみは! 手のひらサイズで3,000円とか4,000円とかするぞ!

と、文句を言いつつも、私も大好きな紅の豚のクリアファイルを買って満足した。

豚さんは中年男子の鑑である。

中年男子は、誰だって豚さんみたいにモテモテになりたいのだ。

 

那須テディベア・ミュージアム
となりのトトロのぬいぐるみ展

 

一石二麺三ジブリ(いちふじ-にめん-さんじぶり)

(意味)…夏の那須も素晴らしいが、冬の那須も素晴らしい。道路は混雑していないし、普段は3時間待ちの時もある「宝石探し トレジャーストーンパーク」が5分待ちで入れる。「那須ラーメン」はおいしくて身体も温まるから寒い冬にぴったり。テディベア・ミュージアムではぬいぐるみの展示に心温まる。トトロのぬいぐるみ展は名シーンの再現に感動できる。

でも、全部まわるとお値段そこそこするから、銀行でお金を下ろすのを忘れずに!

トレジャーストーンパーク(一人800円)<那須ラーメン・やま吉那須本店(ラーメンとステーキ丼のセットで2,000円~3,000円)<テディ・ベアミュージアム(入場料1,500円)+ジブリのぬいぐるみ(4,000円くらい)

あと、冬場は降雪の可能性もあるからスタッドレスタイヤを忘れずに。