城里町の高萩さん Vol.24 メインとサブ

アスパラガスハウスの草取りと古内茶庭先カフェ後日談(取材日:2022/6/11)

アスパラガスの草取り

高萩さんのアスパラハウス

雨が降りそうで降らない梅雨のある日、城里町の高萩さんの畑に行ってきた。

本日の作業は、アスパラガスのハウス内の草取りだ。ハウスに入ると背の高い草やら低い草やらがいっぱいに生えていた。一見、どれがアスパラガスだかわからないようなところもあった。

「去年までは草取りを頑張っていたんですけど。何度やっても生えてくるので、だったら草取りしないでみようかなと思って」

高萩さんらしい「ズボラ農法」である。しかし、これだけ草があると抜くのにも一苦労……いや二苦労、三苦労しそうなほどである。

「背の高い草だけとって、背の低い邪魔にならない草は残してしまって大丈夫です。背の低い草にはカバーの役割をさせて他の草が出ないようにしようかなと」

なるほど、アスパラガスの生育の邪魔をしないような草は、放っておいても害ナシということですか。それならば草取りも一苦労……いや半苦労で済みそうだ。

という訳で、いざ、草取り。背の低いスギナなどはそのまま残し、ヨモギやセイタカアワダチソウなどをよいしょよいしょと引っこ抜いていく。

厄介なのがカラスノエンドウという草だ。ひょろひょろと伸びていて、どこが根だかわからない。勢いよく抜こうとすると、草にできた種などがアスパラガスの茎や葉に引っ掛かってしまい危うくアスパラを折ってしまいそうになる。

アスパラを巻き込まないよう、手でほどきながら対処していく……と思ったより時間がかかってしまった。後で調べたら、この草食べられるらしい。貰ってくれば良かったと思う。

1時間ほど草を取っただけで「すみません、ちょっと休憩」と早々にへこたれた。すると高萩さんから「いえ、今日はもう終わりにしましょう。草取りって案外疲れるんですよね」とありがたいお言葉を頂戴したので、遠慮なくそれに甘えることにした。

最近の高萩さん

草取りを終えた蓮田

草取りを終えた私たちは縁側でお茶をすることにした。最近は手伝いに来ているのかお茶をしに来ているのか、はたまた邪魔をしに来ているのか、よくわからなくなっていて申し訳ないが、インタビューを進めた。

この時期はやっぱり草取りが多いのでしょうか?

「そうですね。去年はネギが大変でしたね。ネギを植えて草取りするのが。今年はネギを大幅に減らしたので、その分の草取りの手間はなくなりましたね」

そういえば、去年はネギ植えましたね。

「今年はレンコンをちゃんと作ろうと思って、レンコンの草取りをきちんとやってるんですよ。そっちの方に時間がかかってますよね。やはり、梅雨の時期は草との戦いですよね」

梅雨時期の草との戦いは有機農法の宿命ですかね。レンコンの状況は?

「今年はうまくいくと思います。ちゃんと管理しているので。去年は管理が行き届かなくてあんまり収量が出なかったので、今年はちゃんとやろうと思って」

今までもちゃんとやっていたのでは?(笑)

「今年は初めてレンコンの田んぼで代掻きができたんですよ。今までは機械がなくて代掻きができなかったんです。耕耘機で無理やりやった時もあったんですけど、重くて田んぼの中で動けなくなってしまったので、こりゃダメだと。今年は管理機でやったらちゃんとできました!」

レンコンの代掻きは私も経験したことがある。管理機に車輪のようなものを取り付けて、田んぼ中を練り歩く。

「代掻きができたので、蓮田の土がとても柔らかくなって根の張りもいいですし、雑草も最初につぶすことができて、だから今年はものすごくいいですね。土が柔らかいから草取りもやりやすいです。前までは地面が固かったから畑を耕すくらいの力で草取りをしてましたから。去年はネギもあったので、ネギの草取りをしている間にレンコンの草が伸びてしまって、結局どっちつかずになってしまったので。今年はようやくまともにレンコンが作れそうです」

でも、今までもおいしいと評判だったような。実際に食べておいしかったし。

「おいしいと言ってくれる人はいましたけれど、それで経営を成り立たせるほどの収量が少なかったので、それがずっとネックなんです。アスパラもそうなんですけど。だから、おいしいと言ってもらえるものをきちんと量を作るというところをこれからのテーマとしてやっていかなければなーと」

このように高萩さんは毎度話す度に課題とその解決策が出てくる。常に自分の仕事への振り返りができているからだろう。見習わねば。

「私はあらゆるものを万遍なく作ることは求められていないと思いまして。私に求められている野菜ってやっぱりアスパラガス、レンコン、あとはマコモと干し芋あたりですか。それをきちんと作るのが大事なのかなって。そうすれば、効率もよくなるし。だからまた原点に戻ってきたってことなんですよ。メインとサブをきちんと分けるようにしました」

素晴らしい。これは高萩さんに限らず、農業に限らずに言えることではないだろうか。1日の時間は限られていて、人間一人の力もたかが知れている。時間がない中であれこれやろうとすると、どれもこれも上手くいかなかった……なんて失敗は私も何度か経験している。自分に求められているものを知ること、それをまずは与えること。自分のやりたいことをやるのは、その次のステップだ。

高萩さんの言葉に自らの状況を重ね、うんうんうんうんと何度も頷いてしまった。

さておき、他の作物の状況はいかがだろうか。今日草取りをしたアスパラは?

「アスパラは株を休めている状態です。収穫まではもう少しかかりますね。他はこの間干し芋用のサツマイモを植え付けしました。自前の有機栽培の芋で干し芋を作りたいので、今年は面積を増やしています。去年も自分で作っていましたが、途中で足りなくなって他から芋を買ってたんで。やっぱり有機農家を名乗っている以上は、全部有機で作りたいなと思って。あとはひたすら枝豆を植えています」

余談だが、大豆と枝豆が同じものだとは最近まで知らなかった……。高萩さんも農業を始めるまで知らなかったという。枝豆の品種と大豆の品種は違うらしいが。

「他もいろいろ作ってますけど、あくまでサブですよね。手が回らなければそこは諦めちゃうし採れなくてもいいやという」

メインとサブ。今回のブログのメインテーマはこれに決まり!

「今年はメインとサブの棲み分けをよりはっきりやろうと思っています。メインがダメだと全体がダメになってしまうので」

値上がりについて

続いて、昨今世間を賑わせている「値上がり」について触れてみた。私の仕事の取引先からも相次ぐ値上げ要望が来ている。有機農家の高萩さんへの影響はどうなのだろう?

「うちはあんまり肥料を使っていないのでそんなに影響はないんですけど、この間ホームセンターに行ったら昔使っていた肥料が当時の2倍くらいの値段になっていてびっくりしました」

肥料をあまり使わない自然派農家の場合は、確かに影響を受ける面が少なくて済むかも。

「でも、あんなに肥料代が上がってしまったら、普段からバンバン肥料を使っている農家は悲鳴あげますよね。他では、うちでも使っていますがマルチの資材が高くなっていますね」

マルチはビニールだから石油製品。やはり値上がりの対象である。

「有機肥料はそんなに上がらないだろうって知り合いの農家が言ってました」

化学肥料と有機肥料の値段の差がそれほどなくなってきたらしい。今までは有機肥料の方が割高であったが、ひょっとしたら次の値上がりで逆転するかもしれないという。

未だ日本人の暮らしは大量生産大量消費から抜け出せていないように感じる。質素倹約の暮らしにもう少し戻したっていいんじゃないかと思うのだけれど(まずは自分が実践しろと)。

古内茶庭先カフェ後日談

鯉渕晴人さん宅(古内茶庭先カフェにて)

2022年6月4日(日)に開催された第4回古内茶庭先カフェ。城里町の高萩さんは、何を隠そう庭先カフェを主催する「チャレンジしろさと」の代表者である。

では高萩さん、庭先カフェを終えて率直な感想を。

「成功だったと思いますよ」

来場者はどれくらいいました?

「延べ人数だと800人超えました。実質200~300人くらいだと思います。Kさんは何か所まわりました?」

えーっと数は覚えてませんが、FRUTAS(一番遠い開催場所)まで歩きました。ツレが歩くのは好きなので。

「過去のデータですと、一人当たり大体2.5軒周っているというデータがありますよ」

今回宣伝は抑え気味にしたと聞きましたが。

「宣伝はあえて抑えました。駐車場今回あえて今まで使っていた小学校も使わなくて。宣伝をしなかった割にはお客さんもけっこう来てくれました。全然来なかったらどうしようって心配してたんですけど(笑)。10時(イベント開場時間)を過ぎても全然人が来なかったので大丈夫かな~と思いましたが、その後続々人が来てくれて10時半頃には駐車場が満車になりました。150人くらいの来場者を想定していましたが、そこはクリアできたようなのでよかったです」

コロナも完全には空けてませんしね~。他に感じたことはありましたか?

「参加している農家さんと出店者(各会場にお菓子などを販売するお店が出店していた)のつながりが深まったのを感じられました。出店者には城里町にゆかりのある人が多く、実家が城里だったり親同士がつながっていたり七会の朝市に出店している人だったり。チンドン屋の三浦さんも城里町に10年くらい住んでいたらしいんですけど、今まで全く接点がなかったんです。根本樹弥さんから紹介されて知り合って、今回のような形でイベントにも参加してくれて、また新しい関わり方をしてくれる人が増えたのはうれしいことですね」

そうそう、三浦さんはこのブログを見ていてくれたみたいなんですよ。だから高萩さんのことも出会う前から知っていたと言ってました。

「そうなんですか! このブログもけっこう評判いいですよ(笑) 」

沖縄民謡の「てぃんさぐぬの花」をリクエストしたんですよ。めっちゃよかったです。感動しました。

「古内地区にも伝統民謡があって「古内茶もみ音頭」っていうんですけど、それを演歌歌手が歌っているカセットテープが加藤さん(お茶の加藤園)の家にあったので聞かせてもらって。いつしかなくなってしまったこの歌を復活させようという話も出ているんですよ」

古内茶もみ音頭のCD(シングル)

いいじゃないですか! 音楽っていいですよね。知識ではなくて感覚的なところが。みんなが楽しめる。

「バブルの時期に勢いで作ったのかと思いきや、その前に作られたみたいで。録音してきたので聞きますか?(とスマホで聞かせてくれる)」

ほんとだ、「古内茶」って歌ってる! おもしろい!

「三浦さんも古内に共感してくれているから、ぜひ復活させましょうという話になっています。という、希望のある話もありました」

いいですね~。ぜひやりましょう。早くやりましょう。

「あと、加藤さんと話していて心配になったのが古内茶を作っている人たちの体力の限界が近づいていることです。加藤さんも今年はお茶の収穫が全部終わらなかったと言ってました。後継者もいないですし」

古内茶庭先カフェの到達点には、古内茶のファンを増やして理解者を増やして古内茶を存続させるという目的がある。だが、今のところそのような話は出てきていない。

「このままでは間に合わないのでは?という危機感を抱きました。私のイメージとしては、古内茶の関係人口、交流人口を増やして、その中で「私、お茶農家やります」という動きを期待していましたが、庭先カフェとは別にその動きをしないといけないかもしれません」

「お茶をやりたい」という人が出てきた時に、お茶を作っている人がいなかったらら元も子もない。私もちょっとやってみたい気持ちはあるが……なかなかどうして。

「城里町の地域おこし協力隊に入って古内茶農家の元で学ぶこともできるんですよ。城里町もそうやって募集はかけているんですけど、マッチングがうまくいかないようです」

へぇー。

「専業じゃなくてもいいんですよ。古内茶は兼業でやっている人もけっこういます。普段別の仕事をしていて、週末お茶の管理をしている人もいるんですよ」

お茶だけで食べていくのは難しいのでしょうか?

「初期投資がお茶は一億円くらいかかるらしいので、0から始めるのは厳しいでしょうね。まともに採れるようになるまでは10年かかると言いますし。茶畑を借りてそこでお茶を作って、工場に委託して作ってもらうとか、使わなくなったお茶の機械もあるらしいのでそれを借り受けることもできますよ。面積を減らすと言っているお茶農家もいるので、そこを借りてやっていくのも一つの手ですし、第三者継承で辞めると言う人から工場ごととか茶園を引き継いでやるとか、いろいろ方法もあると思うんですよね」

では尚更途絶えさせてしまってはいけませんね! 今のお茶農園があるうちに継承しないと!

「なので、Kさんも次の転職先にいかがですか?」

あはは(笑) 検討してみます。という訳で、今回の庭先カフェをまとめると、出店者とお茶農家のつながりという新たな発展があったということですかね。

「次は11月中旬にやる予定です。何回か開催してみて、6月は新茶の季節だからウリがありますけれど、秋はそれがないんですよね。だから、集客力が落ちてしまうので、そのへんをどうしようかな、と思っています。一つの案として、城里町には陶芸家さんがいっぱいいるので、秋は陶芸展とコラボしてみようというのがあります」

芸術の秋ですもんね! 各会場にそれぞれ違う陶芸家さんの作品があって、ウォーキングをしながら全部周る……なんて面白そうですね。

「私の理想もそうなんです。あとはウォーキングルートの道端に作品を並べたりとか。茶畑と田んぼの風景を楽しむならば、あのウォーキングルート(裏道)を歩くのがいいんですよね。あの道は庭先カフェの一つのウリだと思うんですよ。今回も他のイベントと重なっていましたが、お客さんは来てくれていたので、それは古内茶庭先カフェというイベントの良さがわかってもらえていて、イベントとしての個性が出せている証拠と言えますね。庭先カフェは地域ぐるみのイベントですから、他のイベントと差別化は図れていると思います」

今回、おひとり様の姿もちらほら見ましたよ。一人でも行こう、というほどに魅力があるんだと思いますよ。

「以前は年配の人が多かったですが、今回は若い人が来てくれるようになりましたね」

という訳で、お茶作りに興味のある方、地域の伝統を守りたいという方がいればこのページ上部の「メール」から問合せください!(私もズボラなので返事が遅い可能性大です)

やさいの駅について

有機野菜の無人販売所「やさいの駅」で本の販売をした。

最後に、有機野菜の無人販売所「やさいの駅」について聞いてみた。

「この時期は品物が少ないのであまり売上は伸びていませんね……。ですが、確実に買ってくれる人は増えましたね。支えてくれる人ができてきたというか」

売上はいかがですか?

「去年とそんなに変わらないですね」

あ、そうか、もうすぐ一年になるんですね。8月31日(野菜の日)オープンですから。

「まだ一年経っていないので未知の領域を進んでいる感じですね。6月のやさいの駅はどうなのかとか。品目を絞っているので、品数が少ないとどうしても売り場が寂しくなってしまって、売上にも影響が出てくるのでそこが課題ですね。メインをちゃんとやりつつも、その穴を埋めるサブの作物を作って、最低限のバリエーションを保たないと」

ここでもメインとサブの重要性を話す高萩さんである。力っていうのはね、方向が多いほど分散するものなんですよね。

「いろいろと試してはいるんですけど、やさいの駅はまだ一年生なので試行錯誤してやっていくしかないですね。今も4品目しか出せていないですからね。とうもろこし欲しい、人参欲しいとかいろいろ要望はお客さんから言われています。うちはいろんな作物を早出ししたりとか、技術もないのでニーズに応えられていない部分もありますね」

高萩さんのお古の本たち。

本の販売も始めましたよね!

「4月から一か月くらいやってみました。50冊お店に出して、5冊販売……という結果でした(笑)。1割売れたと言えるし、9割売れ残ったとも言えるし(笑)」

お値段はいかほどで?

「全部100円でした。次はらくご舎さんにバトンタッチしようかなと」

いつからでもいいですか?

「いいですよ。今日本を持ってくれるものだと思ってました」

ごめんなさい! すっかり忘れていました。

……という訳で、近日、城里町のやさいの駅(平賀石材店駐車場)にて、らくご舎の古本一箱市(仮)を開催します!詳細はTwitterで案内流します(@relax0906)。