日立市の御岩山に登って(2022/12/11)
忙しない日常から抜け出したくなり、山に登って来ようと思った。
はじめは難台山あたりを考えていたが、久々の登山に難台山の連続アップダウンは堪えるかなと思い、今回は茨城県日立市にある御岩山に登ることにした。御岩山は2時間もかからずに下山できるし、「忙しない日常を抜け出したい」という願掛けをするのにちょうどよいと思った。
御岩山の麓にある御岩神社は、日本有数のパワースポットと知られている。188柱の神様が祀られているとか、宇宙から見えた光の柱がある場所とか、常陸国最古の霊山、神仏習合が残る神社……などなど、いろいろな「云われ」があって、近年では県内だけではなく県外の人にも知られている。そんな訳だから普段山に登らない人を誘うにはちょうどいい山である。
そういえば、初めて御岩山に登ったのはいつだったかとパソコンにあるデータを見てみたら、2014年とあった。今から8年前と思うと、「昔」というには日が浅く「最近」というには昔過ぎる。記憶が確かならば、今回で4度目の御岩山登山となる。
何度も登っている山で、御岩神社からの登山ルートも複数ある訳ではないから、何度も歩いた道をこの日も歩いた。歩き慣れた道だから、最初に得られたような感動は少ないが、慣れた道だからこそ今までにない気づきもあった。
何しろ県内外から人が集まる山だから、金銭的にも潤っているのか以前と比べて整備が整っていた。駐車場が増えていたり、案内の看板が増えていたり、登山道が整備されていたり。わかりにくかった噂の石柱(光の柱の発信源という云われがある)がわかりやすく示されていたり。
このように茨城県のある場所が有名になって整備されていくのは嬉しいのだが、やたらと大きな看板が登山道にあったり、以前に登った岩場が立入禁止になっていたりなど、趣きや面白味が欠けてしまった面もある。
そんな中で変わらないのが、御岩神社境内の厳かで神秘的な雰囲気か。無数の杉の木に囲まれた薄暗い場所、そこに建つ神社や鳥居、そして三本杉。何というかそこに流れる「空気」が違う。
ずしんと重く、それでいて清らかで、厳しさがあって。先述したいろいろな「云われ」にも納得がいく。
また、何度も登ったことでディティールにも目が留まる余裕が出た。例えば、境内に生えているコケがモフモフとしていて可愛らしいとか、灯篭のデザインが好みだとか。他にも、登山道に生えた木が奇怪な形状をしているとか、紅葉を終えた葉が落ち登山道に敷き詰められていて、その様が美しく芸術的で、また踏み心地が良いとか。
そんなこんなで、久しぶりに御岩山に登って、変わった部分と変わらぬ部分を楽しんできた訳で。山登りどころかまともな運動も久しぶりだったから、足がパンパンになった訳で。特にフクラハギがむくんだのだが、私はこのフクラハギを40年もの間「フクロハギ」と言っていたのはここだけの話な訳で。
「だって袋っぽいじゃん、この膨らんだあたりが」
とツレのM子に言うと、「私にはわからない」とあっさりと流されたが、そんな些細なやり取りや御岩神社の不思議な空気や御岩山の登山は、私の心を綻ばすにはじゅうぶんであった。
御岩山(茨城県)
茨城県日立市の標高402mの山。麓の御岩神社が「最強のパワースポット」などと言われ、近年人気がうなぎ上り。御岩神社から登る場合、神社の参拝客で駐車場がいっぱいの場合があるので注意が必要。