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「きぬの湯別荘」で過ごす「贅沢な4時間」

コト
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貸し切り温泉に入って、おいしいごはんを食べて、畳でごろん(2025年3月某日)

私の妻は温泉が好きなのだけれど、少しばかり潔癖症なために知らぬ人と同じ湯舟につかるのがどうしても嫌だという。

だから、温泉宿に泊まるにしても家族風呂があるところでないとダメである。つまり、山を登ったあとに温泉でひとっ風呂あびて疲れを癒す、という、人類が最も幸福を感じるひとときを、貸切風呂がない限り、妻は味わうことができない。それは、とてもとても悲しいことである。日本人として生まれてきて、山の後に気軽に温泉に入れないなんて、人生の1/4は損していると思う。

そんな妻に、温泉をプレゼントしたい、と思ったのが、結婚記念日の少し前のこと。そうして探し出したのが、茨城県常総市にある「きぬの湯 別荘」である。

きぬの湯の別荘エリアにある小道。風情がある

「きぬの湯」自体はいわゆる大衆的な銭湯(ただし天然温泉)なのだが、その隣にある「別荘」は、和風平屋が小道の両脇にずらりと並んでいて、それぞれに温泉風呂が備わっているから、妻でも安心して温泉を楽しめる場所になっている。

予約した部屋は「わたのはら」という名前がついていて、これは百人一首の歌であり、他も同じように「ちはやぶる」「このたびは」「君がため」という具合に歌い出しの句が名前になっている。これは、何とも洒落乙であり、知的であり、私の心をくすぐった。百人一首なんてろくすっぽ知らんくせに。

きぬの湯別荘「わたのはら」

「わたのはら」の部屋

平屋の引き戸を開けて、玄関で靴を脱いで部屋に入ると、4畳半の畳部屋の中央に小さなテーブルがちょこんとあって、部屋の端には小さな金庫が置いてあって、その上に小さなテレビが置かれていた。どれも申し訳程度の大きさで、いや、部屋の大きさ(四畳半)を考慮すると、それは機能的な大きさと言えるかもしれないのだが、テーブルは食事の時に使っただけで、テレビも金庫も使わずじまいとなる。それでも、ただでさえ「広くない」部屋を更に狭める、この小道具たちに私はいささかの愛らしさを抱かずにはいられなかった。

「わたのはら」の貸切温泉

別室には脱衣所とトイレがあり、引き戸を開けると風呂がある。風呂のスペースは広い。四畳半の小部屋の倍はあるのではなかろうかと思うくらいに、広々としたスペースがあって、湯舟だけでも四畳半くらいはあるのではないか(やや誇大)。

この空間で私たちが過ごせる時間は「4時間」。

利用料金は二人で19,000円と、決して安くはないが、妻がのんびりと温泉に入れるのならば、決して高くもないと思った。風呂に入って飯を食ってまた風呂に入って少し昼寝をして、という具合に、特別に何をする訳でもなく、4時間を過ごしたかった。

妻がすぐに風呂に入る気配ではなかったので、私一人で風呂に入ることにした。お湯は「ぬるめ」で、ぬるっとしていて肌に良さそう(成分知らんけど)。しかし、長風呂ができぬ性分ゆえに、さっと入ってさっと出てきてしまう。どこぞのカラスよりも、私の方が早いだろう。

濡れ縁

少しして、妻が風呂に入る。同時に、私は部屋の引き戸を開け、濡れ縁に出た。風呂のガラス戸は結露で中が見えなかったが、一部結露がない場所があって、濡れ縁から背伸びをしてそこから風呂をのぞいたら、妻が厳しい目つきで私をにらんでいた。なんでバレたんだろう、と妻に聞いたら「中からは外が丸見えだよ」と呆れられた。

妻が風呂から出た頃に、昼食が運ばれてきた。豪勢な昼食(一人2,970円の「花ごよみ膳」)を堪能したあと、妻がまた風呂に入るというから、「じゃあ私ももう一度」と一緒に風呂に入る。夫婦で風呂に来たのだから、夫婦で入らないと格好がつかない。

先に湯舟につかった妻の姿が、とても艶っぽく見えたので、そっと手を伸ばしてみると、ぴしゃりと叩かれる。なんだ、別にいいじゃないか、夫婦なんだもの、と言うと、「もうそういう期間は過ぎたんです」と言う。そういう期間とはいつまでなんだ、と問うと、「一年」と言う。一年とは何とも短い。

さみしい気持ちになった私は、妻より先に風呂を出て、畳の上に座って施設のインフォメーションブックを開いた。そこには「わたのはら」の歌とその意味が書かれていた。

わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと
人には告げよ 海人の釣り舟

(意味)はるかにひろびろとした大海原に、ぽつんぽつんと無数に浮かぶ島を目指して、漕ぎ出して行ったのだと、どうか都にいる愛しいあの人につたえてください。釣り船に乗った漁師さん。

それを読んだ私は、ひろびろとした岩風呂に残した愛しい人を思い浮かべて、畳の上に寝そべり、夢の世界へと舟を漕ぎ出した。目が覚めると、もうすぐ4時間が経とうとしていた。

【きぬの湯 別荘「わたのはら」の利用料金】
食事代:花ごよみ膳(2970円):2
利用料金(予約・4時間):19000円
合計料金:24940円
※2025年3月時点での料金

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