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第6回 古内茶庭先カフェ~雨の庭先カフェ~

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茶の里に雨が降り注ぐ中、お茶農家の庭先で(2023/6/11)

第6回 古内茶 庭先カフェの概要

 

6/11、城里町では朝から雨が降っていた。

2023年6月11日(日)、茨城県東茨城郡城里町で、通算6回目(プレ開催除く)となる「古内茶 庭先カフェ」が開催された。

「古内茶庭先カフェ」は、水戸黄門ゆかりのお茶であり、茨城県3大銘茶のひとつでもある「古内茶」の産地、城里町の上古内地区・下古内地区のお茶農家の庭先で、お茶を飲んでマッタリしたり、辺りを散歩したりするという、何とも長閑なイベントである。

第6回目となった今回は、お茶農家の庭先等9か所がイベント会場となり、新茶の試飲や販売、パンやコーヒーの販売、陶器の展示などが行われた。

会場一覧

・大坪園(初参加)
・ご飯屋さん寧々(初参加)
・高安園
・加藤園
・初梅園
・時沢園
・鯉渕晴人宅
・島家住宅
・ふぉれすたーずりびんぐ

当日の天気はあいにくの雨となったせいで人出がにぶり、いつものように辺りをウォーキングする人の姿も見られなかった。それでも、日頃古内茶を愛飲する人々が続々とやってきて、静かな茶の里にほのかな賑わいをもたらせた。

初めての「雨」の庭先

高安園のお茶

2018年のプレイベント開催から始まった古内茶庭先カフェ。途中、コロナで開催中止があったが、2023年の今年、第6回目の開催を迎えることができた。

過去の開催を振り返ってみると、庭先カフェの日は雨が降ったことがない。開催時期は6月と11月であったが、秋の開催時はさわやかな秋空が広がり、梅雨時期の開催でも曇りだった。それが、この日の城里町には朝から雨が降っていた。

小雨程度ならかわいいものだが、けっこうな本降りで。そのためいつものように徒歩での庭先めぐりを諦め、車で移動することにした。

ところが、会場の駐車場がぬかるんでいるところがあり、車の駐車が一苦労。いつだったか、雨の後の島家住宅の駐車場で、車がぬかるみにはまってしまい出られなくなる、なんてこともあったので、車を停める際には慎重になった。

高安園

このような雨では客も来ないのでは? と心配していたが、最初に訪れた高安園には車が既に何台か停まっていた。
その庭先ならぬ軒先では、数名のお客さんが椅子に腰かけお茶を飲んでいる。このような光景は、庭先カフェでなくても、いつもの高安園で見ることができる。高安園は、人が集い、憩うお茶屋さんなのだ。だが、この日はいつもとちょっとだけ違った。それはマジックショーが開催されていたことだ。

高安園にて。ギャリソン添田さんのマジックショー中。

その時、高安園にいたのは、ギャリソン添田さん。華麗な手さばきでトランプを使ったマジックを披露して、会場を沸かせていた。

マジックを終えると、来場していたおばさま方から盛大な拍手。添田さんは、ミディアムヘアに、メガネといった出で立ちで、しかもおばさまたちから大人気……あれあれ、このお方誰かに似ている……あやのこうj……いや何でもない。

加藤園のお茶

マジックを楽しんだ後は、加藤園に向かった。加藤園の庭先では、古内茶生産者の加藤秀仁さんが出迎えてくれた。他のお客さんと一緒に、加藤さんを囲んでお話タイム。栽培方法にこだわる加藤さんの、古内茶に対する熱意がこもったお話を聞くことができた。

写真右側が加藤秀仁さん

……と、ここで城里町の有機農家・高萩和彦さんに遭遇する。

城里町の高萩さん

加藤園に出店していた笠間茶屋。

「これを見てください。城里の木で作ったんですよ」

「モバすぎ」と呼ばれる移動販売カーを指して、高萩さんが言う。そこでは、笠間茶屋がドリンクを販売していた。せっかくなのでクラフトコーラを購入する。

「ふぉれすたーずりびんぐで作ったものです。今回も出店しているのでよろしかったらぜひ」

と言うので、後で行くことにした。

島家住宅

加藤園を後にして、島家住宅に向かう。国の有形文化財に指定されているこの古民家は、雨に濡れていつもよりも重厚な雰囲気を醸し出していた。

陶芸家の岩野一弘さん。

島家にいたのが、陶芸家の岩野さんだ。今回の庭先カフェで岩野さんは、高萩さんの代わりに運営に大きく携わることになった。島家住宅の縁側に腰掛け、いただいた古内茶を飲みながら、岩野さんと少し話をした。

カバオコーヒーのカバオさん

島家にはカバオコーヒーというキッチンンカーが出店していて、「古内茶のテリーヌがあるのでよかったら」と岩野さんに言われ、食べてみることに。カバオコーヒーの主人・カバオさんが面白い方で、支払いを終えると「ありがとうカバー」とお礼を言う。キャラ作りって大事よね、と思う。

古内茶のテリーヌ

テリーヌはこの日数量限定で販売していたので、食べられてラッキーだった。

大坪園のみなさん

続いて向かったのが、大坪園。大坪園は、今回が古内茶庭先カフェ初参加であった。

「どうですか、初めて参加してみて」

「いやぁ、あいにくの雨でねぇ」などと大坪さんと軽くおしゃべり。大坪さんは今年度からJA水戸古内茶生産者組合の組合長をしている方だ。大坪さんの庭先でも、新茶を購入した。実をいうと先に訪れた高安園、加藤園でも新茶を購入していた。古内茶はお茶農家ごとに微妙に栽培方法が違うので、当然味も違う。だから、こうしていろいろなお茶農家に行って、それぞれが作ったお茶の飲み比べができるのは、庭先カフェの楽しみのひとつ。

大坪園にて。角田さんの作品

ここでは陶芸家の角田智高(かくだ・ともたか)さんが作品を展示していた。雨で濡れた茶畑を背景に、お茶=Teaの「T」の字に並べられた陶器が並べられている。

「晴れの日の茶畑もよいですが、この雨で濡れたお茶の葉っていうのもまたいいですよね」

と言う角田さんの言葉に「たしかに」と唸る。お茶の葉が雨で濡れて艶っぽく光っていて、晴れの日とはまた違う趣きがあった。あいにくの雨も、見方によっては雨の日ならではの楽しみがある。

ふぉれすたーずりびんぐ

最後に向かったのが、木育ステーション・ふぉれすたーずりびんぐであった。「木育ステーション」の名の通り、木についての学びの場だ。先ほどの移動販売車「モバすぎ」を作っているのが、ここである。

私もたまに山に登るし、木や森について興味があったので以前から訪れてみたかった場所だった。

モバすぎと岩崎さん

ふぉれすたーずりびんぐに到着すると、駐車場にいたふぉれすたーずりびんぐの岩崎さんに話を聞いた。「ここ、前から来てみたかったんですよ。一体何をしているところなんですか?」と前のめりになって聞くと、岩崎さんがふぉれすたーずりびんぐの事業について話をしてくれた。

岩崎さんは、フォレスターズLaboを担当していて、そこで里山保全のための間伐に必要な木を切る技術(チェーンソーの使い方など)を教えているという。「モバすぎ」の機能性についても、実際に動く様子を見せながら詳しく説明をしてくれた。到着してからしばらくの間、中に入らず岩崎さんとのおしゃべりに興じる。

間伐材を使って作った機織り機

一通り岩崎さんとしゃべり終えると「ささ、どうぞ中へ」と案内される。お店に入ると、木の空間が広がっていた。中には代表の井出さんがいて、またしても「木」や「森」についての話で盛り上がる。落葉樹が山にもたらす効能、人の手を入れすぎない持続可能な里山のあり方、などなど。

ふぉれすたーずりびんぐで食べたホットサンド

そんな訳で、ずいぶんと長い時間ふぉれすたーずに居座ってしまった。帰り際に特製の燻製卵「くんたま」を購入した。こちらは茨城県産の『奥久慈卵』を薪を使ってゆで、調味料につけこみ、さらに杉の間伐材で作った燻製器の中に入れ、日本の山桜のチップで2時間半燻製したもので、いばらきデザインセレクション2022にも選ばれている。

大坪園にて

帰る頃に、ようやく雨が上がった。その時刻は15時くらいで、ちょうど庭先カフェの終了時間だった。イベント開催の間、雨が降り続けるなんて。何とも間の悪い雨であったが、そのおかげで雨ならではの庭先カフェが楽しめたのではないか。

雨が、いつもと違う茶の里の風景を見せてくれた。また、雨が降っているから、あちこちを歩くのが億劫になってついつい一か所に長居してしまい、いつもよりもお茶農家や出店者といろいろな話をすることができた。

この日の雨は、木々の葉の「緑」を「深く」しただけでなく、城里に住む人々と私の「縁」も「深く」してくれたようだ。