新緑もゆる鶏足山で、道に迷う(赤沢富士登山@城里町)

新緑に包まれた里山の美しさに魅せられて(登山日 2023/4/9)

新緑萌え~

ミツマタの群生地として有名な鶏足山(けいそくさん)は、茨城県城里町と栃木県茂木町の境に位置する標高430.5mの低山である。春の陽気に誘われて……と書きたいところだが、少しばかり寒さが残る4月上旬に、この山に登ってきた。

道中、城里町の里山たちが素晴らしい風景を見せてくれた。葉の落ちた落葉樹から新しい葉や芽が出始めて、山を黄緑色よりももっと白に近い色に染めている。それはまるで山が白く燃えているかのよう。草木が萌えると、山は白く燃えるのか。

すごい、きれいだ、美しい。と車中一人で連呼するも、同乗する家族はまるで無関心である。感動を共有できないということは寂しさを感じさせるが、時に多様性を再認識させてもくれる。ダイバーシティを目指す世の流れには沿っているので、そういう意味ではもってこいの家族である。

鶏足山には、過去に城里町の高萩さんと一緒に登ったことがあった。写真のデータを見返してみると、2014年とある。今から9年前……ほぼ10年前と考えると、時の流れの早さを嫌が上でも感じてしまい、その頃と比べて何ら成長がない私自身の存在を確認すると、それが如何に残酷かを思い知らされた。

さて、自虐的な文章はそこそこにしておくとして、肝心要の鶏足山について書きたい。……ところであるが、今回は「思うようにいかない」登山であったことを先に書いておきたい。今回は、過去に何度か登っている一般の登山口(表登山口)ではなく、鎖があって少々ハードっぽいコースの大沢峠登山口から登ろうとしていたが、登山口が見つからず断念して結局一般の登山口から登ったこと。更に、山行中に道を誤り、その後道に迷ってしまい、鶏足山山頂に辿りつけなかったこと。

大沢峠登山口は、グーグルマップのナビでは表示されないから地図を頼りに探してみたが、ちょっとわかにりくい。しかも、表登山口近くにある駐車場から徒歩で30分道路を歩くことになるというから、ちょっとだるい。そんな訳で今回は大沢峠登山口からのアプローチは諦めた。

続いて「道迷い」について。低山にありがちな道迷いをやってしまった。初めての道ならばまだしも、3回目なのに(ぐすん)。

表登山口から登り始めて、赤沢富士まではすんなり行けたのだが、その先の分岐で道を間違えたようで。ゆるやかな下りが続いて、あれ?何かおかしい?と思った。鶏足山の山頂に向かっているはずなのに、下りが「続き過ぎる」。

地図を見て、裏登山口を下りているのでは?と判断した。せっかく鶏足山に登りに来たのに、このまま下りてしまっては味気ない。先ほど外から眺めた、新緑に包まれた鶏足山に是が非でも登りたい。新緑の中に埋もれたい! でも、今来た道を戻るのは面倒であった。

地図には裏登山口から赤沢峠登山口からのルートにつながる道が書かれている。ならば、そこから鶏足山を目指そう……ということで、それっぽい道を探したところ、古い木でできた小さな橋を見つけた。橋の先には登山道……というには心細いが、踏み跡もあった。

橋があるということは、その先に進めるということ。先に進めるということは、その先に何かがあるということ。ここは山である。登山が盛んな山である。そんな場所にある「何か」とは、山の頂上に決まっている。

これは名推理と思い、橋の先へと進む。今にも途絶えそうな水の流れがあって、その小さな小さな沢に沿って進んだ。だが、私の名推理は迷推理に終わった。踏み跡が途絶えてしまったのだ。

こういう時、踏み跡っぽい道、登山道っぽい道が何となく「ある」ように見えてしまう。野生の勘で先に進んでもいいのだが、ヘタをすると「道迷い」ではな済まなくなり「鶏足山で登山者一家遭難」の見出し記事が出来上がる(いや、記事にもならないか)。不安を抱えながらも、そこから少しだけ奥へと歩くが、いよいよ足場が悪くなり、藪漕ぎ状態になる。

ふと、後ろを振り返ると、ぽかんとした表情を浮かべた家族の姿が。

エ? ナニコレ? ミチニマヨッテル?

家族の顔を見て、我に返る。これ以上リスクを冒す訳には行かない。家族には明日の仕事や学校があるのだ(勿論私にも)。

ホーホケキョとウグイスの鳴き声が、山中に響く。ケキョケキョケキョと、美声をその後も披露してくれる。

「春だなぁ」と私が言う。

「そうだね」と相方のM子さんが答える。

「戻ろうか」と言うと、皆は「うん」と言い、私の後に続いて今来た道を引き返した。

 

 

山歩き里ある記 ベテラン記者が教える茨城の山の楽しみ方 (ニューズブック)

茨城県の山 (分県登山ガ

クリックすると地図が表示されます。

イド)

鶏足山の表登山口。

新緑もゆる、春の里山

裏登山口にある木の端。ここを曲がってはいけない。

道に迷い、踏み跡すらなくなる

引き返しているところ(笑)