「品のある野生の味」山菜の女王・コシアブラを食べたい!
山菜の女王・コシアブラ
先日、職場のHからコシアブラを頂いた。
「天ぷらにして食うとうまいよ!」
Hに言われた通り、天ぷらにして食べてみる。
すると、とてもうまい。
野趣にあふれながらも、どこかしら品のある味。
まさに、山菜の女王だ。
いただいたコシアブラをペロリと平らげると、
以前に、初めてコシアブラを採りに山に入った時のことを思い出した。
山菜採りハイキングの思い出
長年山菜採りをしているというご夫婦に連れられて、茨城県北部の山にコシアブラを採りに行ったことがある。
それは、登山とは違って、登山道のない斜面を登るという過酷なものであった。
整備されていない山を登るのは、殊の外疲れるもので、普段の登山よりも歩く距離は少ないのに、疲労感は登山並だった。
危険な場所以外は景色を楽しみながら歩く登山に対し、山菜採りは危険な場所ばかりである。
それに、目的はコシアブラを採ることだから、コシアブラが生えていないか目を凝らさねばならない。
私のような山菜のド素人がいくら目を凝らしたところで、コシアブラは見つからない。
どれがコシアブラかわからないのだから、当然である。
しかし、山菜採りに慣れているご夫婦は、遠くからでもコシアブラを見つけてしまう。
「あそこにあるよ」
と指をさされた方向を見るが、それでも私はわからない。
「これ、コシアブラですか?」
と聞くと、「それはヤマウルシだね」と言われてしまう(コシアブラとヤマウルシは似ているのだ)。
そんな私でも、慣れてくると自分で判別できるようになる。
白っぽくて細い木に、ちょこんと新芽が生えているものを探せばよい。
ヤマウルシは確かにコシアブラによく似ているが、新芽の色が少しくすんでいて、赤っぽい。
自分で判別できるようになると、コシアブラ探しが面白くなり、夢中になってコシアブラを求め山を歩き回った。
その日は、場所を変え変え朝から昼過ぎまでコシアブラを採った。採ったコシアブラを持ち帰り、やはり天ぷらにして食べた。自分で採ってきたコシアブラは格別にうまかった。
コシアブラ怖い
今まで私にとって山という存在は、遠くから眺めて目で楽しむもの、または歩いて身体で楽しむものであった。それが、山菜採りをしてからは、食べて舌で楽しむという、新たな楽しみが増えた。
人は、山からいろいろな恵みを享受している。
山菜を採って食べることができる、
歩いて心と身体をリフレッシュできる、
木を切って材にすることができる。
その他にも、私の知らないところで山は人にもっといろいろなことを与えてくれているだろう。
ああ、それにしても。
コシアブラの美味しいことといったら!
頂いたコシアブラでは足りない。
もっとコシアブラを食べたい。
ならば、山に採りに行けばいいのだが、このご時世であるからそれをするのも後ろめたい。
そこで、落語の「饅頭怖い」という噺を思い出した。怖いものがないという男に対して、どうにか怖がらせてやろうとする者たち。
怖いものなしの男は本当は大好きな饅頭を「饅頭が怖い」と言いふらし、それを聞いた者が饅頭を大量に買ってきて怖がらせようとする。
しかし、本当は饅頭が大好きだから、「怖い、怖い」といいながら饅頭をむさぼり食うというアレである。
そのため、ブログのタイトルを「コシアブラ怖い」とした。
さすれば、これを見た読者が大量のコシアブラを送りつけてくるかもしれない(おいおい)。
そうだな、コシアブラをつまみに一杯やりたいから、最後に「酒が怖い」とでも付け加えておこう。
山菜ハイキングのお供に
ヤマケイ文庫 山菜&きのこ採り入門 (Kindle版)
楽しくておいしい、山菜採りハイキングは、当然山菜・野草の知識が必要。
初心者はまず本を読んで知識を得たり、
詳しい人と一緒に登ったりしよう。
コシアブラとは(Wikiより抜粋)
<木の生態>
樹高:7~10m、中には20mに達するものも。
枝・木肌は灰白色。
葉は掌状複葉、5枚の小葉で長さ10-20㎝の葉柄を持つ。
冷温帯林に生息。
日当たりの良い明るい斜面に多い。
<山菜としてのコシアブラ>
春先に伸びる独特の香りを持つ新芽は食用となり、山菜として扱われる。
食用とする場合は、まだそれほど伸びていない芽を摘み取り、ハカマの部分を除いたものを調理する。
肥沃な土地にあるものは、太いだけでなく養分が多く美味。
強い苦みがあるため、苦みを和らげる天ぷらにすると食べやすい。
他、おひたし・和え物などでも調理され、塩漬けにすると保存食にもなる。