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【城里町】古内茶庭先カフェ~秋の茶の里ウォーク~に参加してきた【地域イベント】

コト
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水戸黄門ゆかりの「古内茶」の産地を歩いて、お茶を飲む。
第3回古内茶庭先カフェ取材記&筑波大・渡准教授インタビュー(取材日:2020/11/15)

一味違う? コロナ禍の庭先カフェ

古内地区に広がる茶畑。

青く澄んだ空の下、少し冷たい風に吹かれ、茶畑の間の農道を歩く。車で走れば、何の感情も抱かずにただ通り過ぎるであろう、何の変哲もない田舎道なのだが、こうして歩くスピードで眺めてみると、何となく(本当に何となく)心穏やかな気分になって、ちょっぴり贅沢な感情すら抱いてしまうのはなぜだろうか。

去る2020年11月15日、茨城県城里町で古内茶庭先カフェ~秋の茶の里ウォーク~」が開催された。今回で3回目の開催となった古内茶庭先カフェは、水戸黄門ゆかりのお茶であり、茨城県三大銘茶のひとつでもある城里町産の「古内茶」を広く知ってもらうための地域活性化イベントである。今回の庭先カフェは、コロナ禍での開催とあって、以前とはちょっと違う装いとなった。

まず、副題に「秋の茶の里ウォーク」とあるように、ウォーキングの要素が加わった。そして、以前までの「お休み料」がなくなり、庭先を歩いて周るだけであれば「無料」で参加できるようになった。
※コロナ対策として、検温・消毒を実施したほか、事前告知では人数制限を設けるなどして「密」を避ける工夫がされた。

↓城里町在住の方が作成したPR動画「古内茶庭先カフェ巡り」

今度の庭先カフェはウォーキング!

イベント当日に配られたMAPは筑波大学院生の孫さんが作成したもの。(写真をクリックすると拡大表示されます)

ウォーキングコースは、城里町上古内にある国登録有形文化財・島家住宅から古内茶農家の高安園までで、片道約3㎞。往復すると約6㎞の道のりであるから、なかなかの運動量である。途中、数か所の立ち寄りポイントがあり、そこで古内茶の試飲ができるほか、ポイントごとに「おもてなし」がされた。

①島家住宅

駐車場のある島家住宅からウォーキングスタート。
島家住宅では自家製の酵母パン・焼き菓子・陶アクセサリー・手作り編み物の販売が行われた。

イベント開催時の島家住宅

島家住宅に車を停めてウォーキングを楽しむ

②鯉渕晴人宅(鹿島神社)

鹿島神社のすぐ隣にある鯉渕晴人さんのお宅では、自家製古内茶とともにお菓子をいただく。
高台からの眺めが◎。

鯉渕さん宅の庭からの眺め。

各庭先でふるまわれた古内茶。庭先ごとに茶の味が違う。

③喫茶キッチンカー(出張お茶サービス社)

出張お茶サービス社によるキッチンカーが道中の休憩ポイントに。
中国茶・紅茶・ハーブティー・コーヒーなどの販売がされた。

出張お茶サービス社。中国茶から緑茶、紅茶、ハーブ、ほうじ茶など約80種類もの「お茶」を扱うお茶の移動販売車。

ほうじ茶と豆乳が入ったチャイ(500円)

④時沢園

お茶農家の時沢園さんでは、古内茶生パスタや城里町産の農産物を販売。
パスタを調理したのは根本樹弥さん

古内茶を使った生パスタ。

シェフの根本樹弥さん。普段は自然農で野菜を作ってもいる。

⑤高安園

普段から庭先カフェ的なことをしている高安園では、古内茶の他に、焼きそば・柚子味噌おでん・けんちん汁などの販売をしていた。

イベント時の高安園。

高安園の店構え。

⑥加藤園

お茶の加藤園では、古内茶と焼き菓子を販売。
茶畑すぐそばの座席がいい感じ。

加藤園の庭先(というか裏側)でくつろぐ参加者。

お茶の加藤園では、普段から古内茶を販売している。

水戸藩かご屋ほいさっさ

歩くのに疲れたら……ほいさっさ!

水戸藩かご屋ほいさっさ

第3回・古内茶庭先カフェに参加して…

普段は通らないような田舎道を歩く。それだけで特別な気分を味わえた。

前回までの庭先カフェとの大きな違いは、やはり「歩く」ことが主体になっていることだろう。地方に住んでいる方はお分かり頂けるだろうが、田舎は都会のように鉄道やバスの路線も便数も少なく、通勤や休日の外出にはもっぱら自家用車を使用する。歩いて行ける距離の用事でも、車で行ってしまう。つまり、「歩く」機会が少ないライフスタイルになっている。だから、こうして意識的に歩くことは、何より新鮮に感じた。

しかも、歩く場所は普段は滅多に歩かない田舎道である。周囲にあるのは小さな里山と田畑、そして、ところどころに民家があるだけ。どこにでもあるような田舎の風景の中を歩く。「どこにでもあるような田舎の風景」ではあるのだが、歩く速度で眺めてみると、あれこれと発見がある。

この畑では何が育てられているのか、茶畑というものがどういうものなのか、そして、そこに生息する虫たち、草花たち。小さな山だって、よくよく見ればそれぞれ形が違っていて趣があったり、付近を流れている小さな川だって、場所によっては観光地を流れる川のように美しかったり。

加えて、従来の庭先カフェのように休憩所(庭先)ではおいしい古内茶(茨城県三大銘茶!)を頂けて、お菓子を食べたり食事をしたり野菜を買ったりできるのだから、歩くことの楽しさが増す。そして、各庭先にある椅子の配置が素晴らしい。椅子が茶畑の方を向いて設置されていて、そこへ座って古内茶を飲みながら、茶畑をのんびり、ぼんやりと眺めることができるのだ。

かくして、お茶の産地で茶畑を眺めながら歩いて散策し、茶畑を眺めながらお茶を飲んでひと休み、という新しい古内茶庭先カフェが誕生した。城里町古内地区の良さを、まるまる味わえる素晴らしいイベントになったのでは。

WEBで古内茶を購入できるようになりました!

古内茶庭先カフェの「発起人」筑波大学・渡和由准教授のおはなし

筑波大学准教授であり、庭先カフェの発起人でもある渡和由さん(右)、と筑波大学院生の孫さん(左)

今回、筑波大学で准教授を務める渡和由さんにおはなしを聞くことができた。
渡さんは筑波大学で「プレイスメイキング(人の主体的な居場所づくり)」や「サイトプランニング(活動・場・空間の配置計画)」といった環境デザインを研究テーマに掲げている。庭先カフェの元になった静岡県の「大沢・縁側カフェ」の存在を城里町の有志に伝えた人物である。いわば、庭先カフェの発起人といってよい。そして、現在でも庭先カフェの企画に携わっている。

●「古内茶庭先カフェ」は今回で3回目の開催となりましたが、今までとの違いは?

「古内茶庭先カフェは、ある意味社会実験として継続しているのですけれど、毎回違うことにチャレンジしています。今回は副題をつけて、ウォークを取り入れました。例えば、農家の庭先だけじゃなくて、田んぼの中にキッチンカーを設置するなど、新しいことに取り組んでいます。それから茶畑を眺められる縁側的な席を作ったり。そういった細かな演出がありました。イベント主催者側の人々が自分たちで少しずつ変えていく取り組みをされています。アドバイスは私も少ししていますが、具体的に指定したのではなく、それぞれが考えて設営をしてくれました」

●茶畑を歩くという経験が、とても新鮮に感じました。

「これまでもイベント参加者は歩いていたのですが、今回はそれを意図的に歩いてもらいました。コースも県道ではなく、田んぼ道を選んでいます。茶畑の中を歩いて抜けていくという体験ができたと思います。ところどころの庭先で、自分で座席を選択して、茶畑を座って眺めるという体験も。自主的な体験がかなりあったのではないでしょうか」

●車で通り過ぎるのと歩くのでは、印象の残り方が違いました。

「全然違います。私自身もそうです。今日は田んぼ沿いを歩いて、全く違う印象が残りました。それともうひとつは今回は無料で行うということで、それが一つ新しい展開でした。恐らく、今後は無料で提供するという形に変わっていくかもしれないですね。最初にみんなで私が助言して行った静岡の事例(大沢・縁側カフェ)は、それぞれ縁側を提供する方々が場所代として300円を貰っていたんです。そうすると、サービスを提供する側とされる側という関係にどうしてもなってしまいます。それに少々違和感を持っていた方もいたので、今回はコロナというのもあって、イベントの告知が広くできないのあったので、試験的に無料でやってみようということになりました」

●無料になったことで、お茶請けのボリュームも丁度良くなったような?(前回まではボリューム満点で、すべての場所を周るのが難だった)

「利用者側も程良いし、提供する方々も楽になった(気持ち的に)と思います」

●古内地区、そして庭先カフェは、今後どのようになってほしいですか。

「私としては、今のような無理をしないゆるい感じで続けてもらって、それに共感する方が少しずつ集まってくれればいいと思っています。毎回異なる参加者が少しずつ減ったり増えたり。減ってもいいと思っているんですよ。今回は前回と比べて減っていますし。その辺は成長するだけではなくて、自由なプラットホームとして継続できればいいと思います。今回は少し若い方の利用者も増えた感じがしますので、少しずつ変わってきていますね。そして、一番の重要なポイントは、主催者=地元の方の自主的な取り組みです。私の感触では、地元の方々の取り組み方を見ていて、継続できる可能性が高いと思いました」

古内茶庭先カフェ 主催・チャレンジしろさと代表 高萩和彦さんのおはなし

チャレンジしろさと代表の「城里町の高萩さん」。

当ブログ内の「城里町の高萩さん」でお馴染みの高萩和彦さんのイベント開催後のお話。

「やはり無料にしたのは双方にメリットがあると感じました。徹底的にコストダウンや人員節減したからこそ、実現できたと思います。今回は庭先カフェの名を冠しているものの、実質的には6月7日に実施したイベント(古内茶の新茶お披露目会)の発展系という位置付けです。無料+無理しない+茶の里を体感してもらうという、このやり方がこれからのスタンダードになると思います。庭先カフェは元々、静岡の大沢縁側カフェをモデルにスタートしましたが、いよいよ「古内方式」ともいえる独自の形に進化しつつあります。これからも、無理せずコンパクトに、という方針は堅持しつつ、限られた資源でいかに満足度を高めるかを追求していきます」