沢沿いハイキングが楽しい!
茨城県屈指の人気の山「宝篋山」の極楽寺コース(登山日:2021/2/21)
★子どもたちを自然と触れ合わせよう企画第2弾
筑波山ファミリー登山から2週間が経った。
あれから子どもに「また山に行こう」と誘うと、「えー、疲れるじゃん」なんて言われてしまう。家でゲームばかりの子どもを外に連れ出す計画は、あえなく終了になってしまうかと思いきや。登山計画日間近になると、上の子が「早く山に行きたい」なんて言い出した。
おお、これは! 意外な反応!
楽しみにしているではないか。楽しみにしているということは、期待しているということである。せっかく抱いてくれた期待に背けば、「やっぱり山つまんね」なんてなりかねない。
それだけは避けなければ。
そうなると山の選定に四苦八苦である。
程よい歩行距離と時間、そして山の楽しみが味わえる山……。
最終選定に残ったのが、日立市の御岩山とつくば市の宝篋山であった。
日立の御岩山は、日本屈指のパワースポットとして有名な御岩神社が麓にある。ゆっくり歩いても2時間くらいで踏破できるし、山頂近くには岩場もある。
難点としては、冬場は霜柱解けで足元がぬかるみやすくなっていること、それと最近大きな地震があったことか。子どもからしてみれば、パワースポットと言われてもまるで興味がないかもしれんし。
その点、宝篋山は多彩なコースがあって、山登りの面白さを存分に味わえる。山頂からは先日登った筑波山の姿がすそ野までまるまる見えてしまうほどの景色が拝める。
難点といえば、混雑か。いつも車を停めている小田休憩所には70台ほどの駐車スペースがあるのだが、去年単独で登った時も駐車待ちをするほどだった。それに愛用している常願寺コースでは、尖浅間の山頂間近に心臓破りの登りがある。あの登りを子どもやツレが登り切れるか。
うむ、帯に短し襷に長し。
でも、前回登った山(筑波山)を違う山から眺められるという点は、御岩山では得られない感動がある。何より、宝篋山は私の一番好きな山であり、何度も登ったことがある山である。
いわば、とっておきの山だ。
それをこのタイミング(登山2回目、山を少し好きになりそうな時)で子どもたちにお披露目するのも、いいかもしれない。
いつもの常願寺コースではなく、極楽寺コースにすれば少しは登りの時間をカットできるし。
という訳で、三寒四温の「温」の日に、宝篋山に登ってきた。
★宝篋山(ほうきょうさん)
● 標高:461m
● 今回のコース:小田休憩所(スタート)→ 極楽寺コース → 常願寺コース合流 → 宝篋山山頂 → 小田城コース → 小田休憩所(ゴール)
● コースタイム : 約4時間
● 特徴 : 沢あり、岩ありのコース。広々とした山頂からの筑波山の眺めが絶景
2020年の登山記事↓
★極楽寺コースで極楽を味わう
はて、宝篋山の極楽寺コースを歩くのはいつ以来であろうか。
去年登ったのは常願寺で、その前も確か常願寺、前の前も常願寺だった気がする。
尖浅間を周る常願寺コースは、歩き甲斐があって私のお気に入りなのである。極楽寺コースも登った記憶はあるが……果たしていつであっただろうか。
どんなコースだったっけ?と、大好きな山のはずが、そんな塩梅である。
子どもたちの先頭に立って歩いてはみたものの、コースの記憶が全く思い出せない。だから、ちょっぴり不安である。不安を抱えたまま、偉そうに「こっちだよ」「足元気を付けて」なんて先導していく。
極楽寺コースは沢に沿って歩くコースで、これは常願寺も同じなのだが、その沢のグレードが常願寺よりも高かった。
沢だけではなく、ちょっと立派な滝(五条の滝とか白滝とか)があって、それらが小さいのだが趣があってよい。歩いていて楽しい。
それらの滝を見ていたら、ようやく以前に極楽寺コースを歩いた記憶がよみがえってきて、それは一番最初に宝篋山に登った時だったと思い出す。記念すべき第一回目の登山コースを忘れるとは。しかも、こんなに歩いていて楽しいコースなのに!
いいねー!いいねー!(気分が)高まるねー!
ひとりはしゃぎながら歩いていく。
マイナスイオン満載じゃん? ね?
と、ツレに声を掛けるも「え?うん、そうだね」とそっけない。そっけないというか、余裕がない。
やっぱり登りがきついのかな? と子どもたちを見ると割と元気そうに登っている。
しかし、元気なのもそこまでで、沢沿いコースを抜けた後の登りになると、途端にペースが落ちる。
「疲れた。休む」「あとどれくらい~?」と下の子が連呼し始めたので(筑波山同様)、「あとちょっとだよ」と励ましながら登っていく(ちょっとじゃないけど)。
ワニのような岩やこぶしの道を抜けると(この辺の道も気持ちよい道)、やがて電波塔が見えてくる。
ここまで来ると道もなだらかになっていて、パーティの皆も元気を取り戻していた。
そうして、頂上に到着。
こっちこっち、とツレの手を引っ張り、筑波山の姿を見せる。
「見て!筑波山!」
と、子どもたちに説明を始める。
「すごいでしょ!すごいでしょ!こんなにまるまる筑波山が見えちゃうなんて!ほら、あの辺がつつじが丘でこの間登り始めたところで、あそこから登って女体山の山頂行って、御幸ヶ原通って、男体山まで登ったんだよ!」
「へー」と子どもたち。
やはり、リアクション薄い。
「あんなに歩いたんだ」とツレの方はまだ少しは感動があったようで。
山に登っていて、後からその軌跡を眺めてみると、こんなに歩いたんだ!と驚くことが多い。
自分の足で歩いたなんて信じられずに、それこそ「奇蹟だ!」なんて思う。私の場合、未だにそう思うことがしばしばある。
逆に、登山中にまだまだ遠くに見える頂上を見て、あそこまで歩くのか、とげんなりすることもある。
それでも、案外登れてしまうものだから、視覚によって感じる距離感はその程度の精度なのだろう。
頂上にはたくさんの人がいた。これは、宝篋山のいつも通りの光景か。何しろ人気の山であるから、休日となれば駐車場はいっぱいになる。その日も他県ナンバーの車がちらほらとあった。頂上にはコーヒーなどを販売するお店まで出ていて、これには驚いた(去年まではなかった)。
頂上に備えられたベンチはいっぱいだったので、芝生の上に座って休憩をする。
目の前には筑波山。
青々とした空。
実に気持ちがいい。
あまりに気持ちがいいので、ごろんと寝そべってみる。
すると、視界が空の青でいっぱいになる。
ふと、横を向くとツレと子どもたちの姿。
ああ、ここは極楽か。
と至福の時を過ごす。
宝篋山の頂上にて皆で過ごしたこの時間は、きっと人生の宝物になるに違いない。