茨城の春を味わう日曜日(2022/5/22)
何をするにも「タイミング」は重要なもので。
同じコトをしたり、同じモノを食べたりしても、時期が悪ければまるで違う印象を受けてしまう。適したタイミングでそれらをすることで、そのコトやモノの魅力が最大化される……。食べ物でいうところの、「旬」というやつだ。
5月下旬。茨城県ではバラの花が見頃になり、春メロンの栽培が最盛期を迎えている。ツレのM子はひたちなか海浜公園でバラを見たいと言うが、私は鉾田の方波見農園にメロンを買いに行きたい。
両方別日に行けばいいのだが、あいにく仕事の休みは週に1度である。ならば、一週ずらせばいいのだろうが、一週ずらしたことで「旬」に乗り遅れる可能性がある。ひたちなかも鉾田も同じ茨城県内だし、海沿いの町だから、両方一度に行ってしまおうとなった。
まずは鉾田市の方波見農園に行く。昔お世話になった方波見洋一(ひろかず)さんが出迎えてくれた。
「最近、何でも値上げが酷くてね。うちも同様だよ」
とこぼす洋一さん。社会情勢の影響を受けて、メロンもやはり値上がりしたようだ。
この時期、方波見農園では春メロンの栽培でめっちゃ忙しい(経験者は語る)。作業場を見ると、メロンが山積みになっている。その中には、ゆうかメロンの姿もあった。
あれ? ゆうかはもう少し後の時期に採っていなかったっけ?
「少し栽培時期を前倒しにしたのよ」
へぇ。あれ? こっちには中玉トマトも。
方波見農園では春メロンの栽培が終わった後に、中玉トマトを栽培している。だから、同時期に両方があるのはおかしいのだが。
「トマトもね、試験的に早くやってみた」
今年は、ゆうかも中玉トマトも3週早く栽培しているらしい。
この方波見農園の中玉トマトが、私は大好物で。ここで働いていた時は、中玉トマトをスナック菓子のようにむさぼっていた。そのおいしさは折り紙つきで、2017年のオーガニックエコフェスタで最優秀賞を受賞している(シンディスイート)。
「一つ食べていいですか?」
どうぞどうぞと言われたので遠慮なくシンディをいただく。あんぐりと一玉まるまる口にほうばり、表皮を歯で引き裂くとじゅわっとトマトの中の汁が口の中に。
あー、やっぱりおいしい。
毎年方波見農園にはメロンを買いにやってくるが、メロンの時期にトマトはなかったので食べることができなかったのだ。
しかし、トマトにメロメロになっている場合ではない。メインの目的はメロンである。方波見農園では、BMW技術を活用した土づくりをし、有機成分たっぷりの肥料を与えてメロンを栽培している(経験者は語る、再び)。
そうして作られたメロンの味はとても甘いのだが、それでいてしつこくない。その味の良さから、県外から買いに来る人もいる。今年からは無印良品のWebサイトでも販売を開始するなど、販路を拡大しながら着実にファンを増やしている。
私はイバラキングとむつみレッドを購入し、方波見農園を後にした。
さて、メロンの後はバラである。
ひたちなか海浜公園のバラが見頃を迎えているという情報を聞きつけ、鉾田からひたちなかへ向けて車を走らせた。
ひたちなか海浜公園といえば、ネモフィラやコキアが有名だ(付け加えると、ロッキンジャパンも…。開催場所が移動になってしまい残念)。園内には常陸ローズガーデンというバラ園があり、3,400株ものバラが植えられていて、そこのバラが見頃だという。
最近、七ツ洞公園にバラを見にいったが(2週続けて)、まだまだ「見頃」な時期ではなかったので、今回は期待に胸が膨らむ。
中央ゲートから入って左に行くとすぐに、バラが見えた。赤にピンク、黄色に白。様々な色のバラの花が咲いている。実に見事な光景だ。なるほど、これが見頃というやつか。バラの花びらの姿は一つでも豪華絢爛な様なのに、それが密集して咲いているからいっそう際立っていた。
バラを見終えると、せっかく来たのだからとネモフィラを見に「みはらしの丘」まで歩く。ひたちなか海浜公園のネモフィラは、見頃の時期になると丘一面を青の世界に変化させ、普段はガラガラの常磐道と北関東道を長々と渋滞させてしまうほどの破壊力がある。
しかし、それもGW前後まで。見頃から半月もした今は「見頃終わり」と表示され、渋滞を起こすほどのものではなかった。それでもけっこうな人がいた。見頃終わりのネモフィラが咲くみはらしの丘は、一面の青というほどではないがそれなりに視界を青に染めていた。
これはこれで、なかなか素晴らしい。少々目につく緑色は、脳内で青に補完すればいいだけのことで、うんざりするほどの渋滞に巻き込まれなくて済む。「旬」の時期の素晴らしさは多くの人が知っているから、どうしても多くの人が集まってしまう。
混雑がキライな私には、ちょっと旬を過ぎたくらい、もしくは旬の手前くらいが旬なのかもしれない。
ちなみに、メロンは熟々のものよりも、ちょっと固いくらいの方が好きである。
つまりは頃合いなんてものは人それぞれ。新緑萌ゆる春の山が好きな人もいれば、葉の落ちた冬の山が好きな人もいる。
はたまた両方とも味わいがあって良いとする人もいる。
見頃食べ頃にこだわらず、その時期はあえて外して家でゴロゴロして過ごしてみれば案外良い心持になるのかもしれない(ゴロ頃)。