お茶の里…茨城県城里町にある加藤園で、古内茶の新茶に舌鼓を打つ。
加藤園で古内茶の話を聞く
先日、ひょんなことから加藤園で話を聞くことができた。
「創業100余年とありますが、現在で何代目なんですか?」
「3代目になりますね。昔はタバコを作っていて……」
私の質問に加藤富美子さんが答えてくれる。そのすぐ脇では、城里町の高萩さんが富美子さんの夫で加藤園の主である加藤秀仁さんらと談話していた。
高萩さんと秀仁さんとの会話は地元の話や農業の話で、とても深い話であった。興味深くはあったけれど、とても会話に入っていけない様子だったし、何より古内茶のこと・加藤園のことを聞きたかったので、その輪から少し離れて富美子さんに話を聞くことにした。
茨城県東茨城郡城里町の名産・古内茶。茨城三大銘茶のひとつに数えられ、そのルーツは江戸時代(1965年・元禄7年)まで遡る。
かつて、水戸黄門こと徳川光圀公が「初音」と名付けた茶木から始まり、古内茶と名を変えて現在に至る。
初音と古内茶には、そこはかとない浪漫を感じていた。だから、もっとそれらについて知りたかった。富美子さんには短い時間しか話を聞けなかったが、それでも今まで知らなかったことを知れた。
例えば……。
「お茶は寒い時期(冬)を過ごして、じっくりと生育した新芽で作る一番茶が一番おいしい。寒さで旨味が凝縮されるんだろうね」
と、富美子さんが話すように、古内茶は一番茶しか作らない。新芽のあとに出てきた芽は刈り取ってしまうという。二番茶を作らないのは、味の問題や労力の問題、売上の問題などがあるらしい。
他にも……。和紅茶(古内茶の茶葉を使った紅茶)は6月末ごろに出来上がること。
茶木は「やぶきた」であること。
お茶の栽培の出来は気温に左右されること。
農薬を極力使わないで栽培していること。(※加藤園さんは無農薬栽培)
加藤園では除草剤も使っていないとか。
興味深かったのは、古内茶は生産者によって味が微妙に異なること。
工場によって作り方が違うらしい。
加藤園の古内茶は、渋味と甘味があって、味が濃い。その場で頂いた新茶は、飲み口はすっきりしていて、後から渋味がわいてくる(ように感じた)。濃い渋味は、飲んだあともしばらく口の中に漂っていた。
「それぞれのお茶を飲み比べて、自分の好きな味を探してほしい」
お茶の里を歩きながら、お茶の味を飲み比べる。いわば、お茶の「飲み歩き」だ。なんて楽しそうなことだろう! そんなことできたらいいのに!と思ったが、それは「古内茶 庭先カフェ」で実現可能なことで、過去に私も体験したことなのだ。
でも、過去の私は、今日聞いた話を知らない。だから、今日聞いた話を知っている私が行く今度の庭先カフェでは、今まで以上にイベントを楽しめるに違いない。
はやくこいこい、庭先カフェ。
はやく鎮まれ、コロナ騒動。
衝動を抑えきれなくなった私は、カメラを持って茶畑に走り出し、低く刈り揃えられたお茶の木々を写し撮った。
お茶の加藤園詳細
店名:加藤園
住所:茨城県東茨城郡城里町大字下古内460
電話:029-288-2755
※お電話での注文・配送も可能
古内茶の新茶は毎年5月半ばごろから販売。
和紅茶(古内茶の茶葉を使った紅茶)は毎年6月末ごろから販売。