お手軽に高山気分を味わえる山~浄土平・吾妻小富士~(2022/8/21)
夏といえばね、やっぱり高い山ですよ。
緑が生い茂る低い山もそれはそれでいいですけどね。生い茂りすぎて展望悪いし、それでなくても夏はガスってしまってよく見えないし。何より虫が多くてね。でもって、蒸し蒸しするし。
「夏は高山・冬は低山」なんて言われたりもするもので、私の山ライフはまさしくその通り……と言いたいところですが、最近は夏も冬も山に行く機会がめっきり減りまして。
けれどね、夏になると思い出すんですよ、高い山に登った時の壮大な景色を。森林限界で高い木はまったく生えてなくて、その光景を眺めると、ここは本当に日本なのか?と疑問を抱いてしまうほど。それが連なる山脈の眺めなどは、もはや異世界の風景です。
けれど、高い山にも難点がありまして、それは天気が変わりやすいこと。晴れているかと思えば、すぐに雲がもくもくわき出してあっという間に辺りは真っ白に、何てこともしばしば。何より、夏の場合はカミナリが怖いです。「すぐ近くにカミナリが落ちた」なんてことを山おじさんから聞くとゾッとします。
でも、「雲より高くまだ遠く」勇気ひとつを友にすれば、そのような景色の中に、わが身を溶け込ませることができます。
そんな景色を、ツレや子どもたちにも見せてあげたい。何しろツレは「自然の景色にはまったく感動しない病」という難病持ちであります。イルミネーションや工場夜景には「そんなにか?そんなにいいか?」というほど喜びますが、一緒に山に登ったり海に行ったりしても「ふぅん」といった感じです。
この難病を治すには、今までとはレベルが違う素晴らしい自然の景色……つまり高山の景色を見せてやればいいかもしれない! そう思って、今夏はツレと子どもを連れて高い山に行くことにしました。
ですが、茨城県には低い山しかないものだから、高い山に登ろうとすると栃木県か福島県まで足を延ばすしかない訳で。「足を延ばす」っていっても、どちらもお隣の県ですから、そう遠くはないんですけれど。
それでも車で2時間から3時間はかかります。(水戸発)
で、行先を福島県の吾妻小富士に決めました。吾妻小富士は、福島県でも北の方……福島市に位置する山で、水戸から車で行くとなると高速道路を使って登山口のある浄土平まで3時間半ほどかかります。その山の形状が小型の富士山に見えるものだから、「小富士」と名付けられたようです。
「山登り」と言っても吾妻小富士の場合は、登るのは最初の10分程度。後は、火口の周りをぐるりと歩く「御鉢巡り」になりまして、それが大体40分くらい。一時間程度の山登りならぬ「山散歩」になります。散歩といっても、標高は1,707mあるのでとても素晴らしい眺めを拝むことができます。
火口の風景も壮絶極めるものですが、吾妻小富士から眺める一切経山の姿がまた素晴らしい。一切経山は今なお火山活動を続けていて、この日も噴煙がもくもくと山から立ち上っていました。
一人や山経験者と一緒ならばグレードを上げて一切経山や吾妻小富士にも登りたかったですが、ツレや子どもと一緒なのでこれくらいが丁度良いかと思いまして。基点となる浄土平にはレストランやら売店やらトイレやらがありますし、家族連れで景色の良いところに行きたいという方にはもってこいの場所です。一切経山や東吾妻山のどちらもショートトレイルなので、早めに出発すれば吾妻小富士とセットで行けます。
この日、浄土平に着くまでは雲があまりなくて快晴一歩手前といった天気だったのですが、浄土平に着いた途端に雲が出てきまして、お鉢巡りを始めると私たちはたちまち雲の中に。
目に映るのは白一色(雲の中)。
「あんれまぁ!」と亡き爺様や婆様を連れて行ったらたいそう残念がられたでしょう。
でもまぁ、雲の中を歩くこともいい経験でしょうし、一切経山の眺めは何とか確保できたし。
高山ならではの素晴らしい自然体験はできたのでは?
帰りの車中、恐る恐るツレに「どうだった?」と尋ねてみると。
「お芋がおいしかった」
どうやらレストハウスで売られていた「溶岩蜜いも」がお気に召したようで。
吾妻小富士・浄土平(福島県)
福島県福島市にある吾妻小富士は標高1,707mの活火山。 吾妻連峰のひとつ。 本来の山名は摺鉢山。車でお鉢のすぐそばまでアクセス可能。気軽に高山の雰囲気が楽しめる。