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夜の水族館

コト
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大洗・アクアワールドの夜間限定開催イベント「NIGHT AQUAWORLD」に行ってきた

NIGHT AQUAWORLD

イルミネーションで着飾られた通路。

年末のある日、お客さんとこんなやり取りをした。

客「この間『夜の水族館』に行ってきたのよ」

私「夜の水族館?」

客「大洗のアクアワールドが期間限定で夜間営業しているの」

私「へぇ!それは良さそう。ライトアップとかされていて、さぞかしキレイなんでしょうね!」

客「うーん、そんなのあったかな?」

私「え、そうなんですか。でも、混雑してそうですね」

客「いや、空いていたわよ」

私「あれ、意外。良さげなイベントなのに」

客「35台しか車なかったわ」

私「数えたんですか……」

アクアワールドの日頃の混雑や駐車場の広さを考えると、35台は確かに少ないかもしれない。
例え特別な演出がなかったとしても、夜に水族館に行くなんて、ロマンチックで楽しそうなイメージしかわかないのに、来場客が少ないのはやはりコロナのせいだろうか。

しかし、よくよく考えてみると、35台の車の数をすべて数えるのもなかなか骨が折れる作業である。

気になってみたので、その後インターネットで調べてみた。
すると、あったあった、夜間特別イベント「NIGHT AQUAWORLD」の案内が。

夜間限定開催イベント NIGHT AQUAWORLD詳細

開催期間:令和2年12月19日(土)~30日(水)、令和3年1月2日(土)・3日(日)・9日(土)・10日(日)・16日(土)・23日(土)・30日(土)

開催時間:18時~20時(オーシャンナイトライブは18時15分開催) ※令和3年1月16・23・30日は17時から19時

主なイベント内容:
①オーシャンナイトライブ…夜間の演出にこだわったイルカショー
②夜間限定スポット・くらげ365…クラゲの月光浴

おお、何か良さそうではないか!
ホームページのくらげの写真が幻想的!
夜のイルカショーとか楽しそう!
しかも、アクアワールド自体がリニューアルしているとか!

何より、「夜の水族館」というのが、恩田陸さんの「夜のピクニック」を彷彿させて、何とも素敵でたまらない。(恩田さんは茨城県の水戸一高出身!)

というわけで、ツレと子どもたちを連れて、夜の水族館ことアクアワールドのNIGHT AQUAWORLDへ行ってきた。

夜のピクニック(新潮文庫)

海の月

夜のイルカショー

開催30分前に駐車場に到着。
正月休み中(1月2日)ということもあるせいか、駐車場に停められている車の数は35台じゃきかない。入口にはすでにイルカショーの観客がずらりと並んでいる。コロナ禍とはいえ、なかなかの盛況ぶりである。

アクアワールドは海の近くにあって、車から降りるとすぐに海が見えた。
「海が見えた」のは見えたのだが、夜の海であるからはっきりと海とはわからない。青い海ならぬ黒い海で、黒い闇の中に波しぶきの白が見えるばかり。

夜の海は、とても怖かった。何度か夜に海を眺めたことはあるが、その時もやはり怖いと思った。何が怖いというと、暗いから怖い。ただそれだけのことである。

でも、その怖さが心地よい。何というか、自然に圧倒されている感じがたまらない。人は、自然の中で生きている、というよりも、生かされている。

そんな風に、人間が何と小さき存在なのかと思い知ると、誰しも怖さとともに心地よい感情が生まれてくるものだ、たぶん。

さて、夜の水族館内に入ると、まずはオーシャンナイトライブことイルカショーを観る。
何やら夜ならではの特別な演出がされているらしいが、最近アクアワールドに行っていなかった(10年ぶりくらいだった)もので、普段との違いがわからない。

それでも、イルカショーは見ていて楽しい。イルカが飛べば、おー!と唸り、曲芸をすれば拍手した。イルカショーを観て、思い出す。そうだ、水族館ってそもそも楽しいものだったのだ!と。

イルカショーが終わると、館内外の展示を見て回った。夜であるから、子どもの目当てであったペンギンは寝ていた(17時くらいには寝るらしい)。

カワウソもいなかった。夜ならではといえば、夜ならではなのだが、水族館に行ってペンギンを見ることができないと、大人の私でも少しさみしい。

アクアワールドはサメの飼育数日本一。

アクアワールドといえば、サメの飼育数日本一の水族館であるが、サメはさすがに泳いでいた。
サメは、かっこいい。映画「ジョーズ」のせいで恐怖のイメージが強いけれど、安全が確保された状態でまじまじとかっこいいサメを眺めるのは、いささか興奮を覚える。

くらげ365の巨大水槽

そうして、我々一行の最大の目当てであったクラゲである。
今回のリニューアルで、1万体ものクラゲを展示した巨大水槽ができたという。

この水槽内の色が青やピンクにコロコロと変わり、それぞれの灯りに照らされたミズクラゲを見るのが、クラゲ365という新しい展示スポットの見どころであった。

事前に見たホームページの写真が、それはそれは幻想的であったから、それはそれは感動するものと思いきや、案外そうでもない。

しかし、せっかく見に来たのだからホームページばりの「映える」写真を撮りたいと思い、ツレと二人でスマホのカメラ片手に悪戦苦闘するが、これまた難しい。

思ったほどの感動がなく、「映える」写真も撮れないとあっては、落胆しておしまいかと思いきや、そのままぼんやりとクラゲを眺めていると、クラゲもまたぼんやりと浮かんでいて、それがとても優雅に見えくる。

クラゲ(海月)

水の中をゆらぐ触手と傘のような体が閉じたり開いたりしてゆらゆらと水中に漂う様は、アート作品のようにすら思えてきた。

これはこれは、なかなかどうして、素晴らしいではないか。
クラゲに魅せられて、ロマンチックな気分に浸りつつ、館外へ出た。

この上、の上にでも浮かんでいれば、よりロマンチックな気分に浸れたかもしれない。
だがそこは、夜の水族館で観た海月(クラゲ)の姿を思い出して、代替することにした。