【城里町】七里の森の朝市

城里町のキャンプ場「フォレストピア七里の森」
「七里の森の朝市」毎月第3日曜に開催中(取材日:2021/4/4)

★朝市

岐阜県・飛騨高山の宮川朝市。

「朝市(Asa-Ichi)」という言葉は、どうしてこうも私の耳(目)に心地よく響き渡るものなのか。

”朝早く”から仮設の店舗が一堂に会し、新鮮な地域の農産物やらが店に並び、そこへ集まる人々。
愛想も威勢もいいお店の人の掛け声。
日常で足を運ぶお店にもそれらの品は置いてあるのだが、朝市に置いてあると特別な品に様変わり。
そして、朝市に訪れる人々は、みなゆとりを持ってそれらを眺めながら優雅に歩き、お店の人の掛け声に呼び止められてはおしゃべりに興じる。

いつも訪れている駅前や通りを、非日常的な風景に変えてしまう、朝市。
ぶらり朝市に行こうものなら、不要なものでも必要に思えて、ついつい手が伸びてしまう。

「朝市」という言葉を耳(目)にしただけで、そんな光景が思い浮かび、心がうきうき、わくわくしてしまう。

そう、私は朝市が好きだ。
しかし、朝市に訪れたことは、数えるほどしかない。
だから、城里町の根本樹弥さんに「朝市やっているんで来ませんか?」と誘われた時も、いの一番に「いきます」と答えた。

だが、何度誘われてもなかなか足が向かない、腰が重い。
その原因は何なのかと自分自身の心の中を探ってみると、「朝が早い」ことにあった。

元来、私は朝が弱い。
仕事の場合は致し方なく早起きするが、仕事でなければとことん布団をかぶっていたい人である。

城里町の「七里の森の朝市」のチラシ。

朝市が開催されるのは大抵日曜で、根本さんが携わる「フォレストピア七里の森(城里町のキャンプ場)」の朝市も、毎月第3日曜日に定期開催している。

朝市だから、開催時間は当然朝。
朝市だけに、朝一だ。
8:30~12:00と、「早朝」とは言えない時間ではあるが、「朝」には変わりはない。

私のように、のんびり起きて、のんびり朝食をとって、のんびり支度して…と過ごしていれば、あっという間に朝が過ぎてしまうから、根本さんの誘いに乗っておきながら、実際には断らざるを得ない(いかない)状況が続いていた。
何とも不義理な男である。

こんな不義理ばかり続けてはいけない。
ここ最近、私は自分を律することを覚えた。
ちょうどそのタイミングで根本さんから朝市の誘いが来た。

「今度の日曜に朝市を臨時開催するのですが、よかったらきませんか?」

いつもは第3日曜なのに、第1日曜に開催するらしい。

その日曜は、ちょうど予定が空いていた。

「いきます」
(今度こそ)と心に決めて、根本さんに返事を送った。

★七里の森の朝市

七里の森の朝市の様子

コロナ禍不況の中、一際元気な分野がアウトドアである。
人と触れ合わず、自然と触れ合う活動に、人々が目を向けるのは時代の流れとはいえ良いことだと思う。
その中でも特に、キャンプが注目を集めている。

城里町にあるフォレストピア七里の森も、週末はキャンプ場利用客で溢れかえる。
こんな小さな田舎町(失礼)のキャンプ場にも、あちこちから人が集まってくるという。
感染流行の恐ろしさは嫌というほど味わったが、世の中の流行というのもまた恐ろしいと再認識させられる。

キャンプ場の週末人口の多さを、他につなげられないか。
地域の特産品などを、キャンプ場利用者に知ってもらい、買ってもらえないか。
朝市なんかいいじゃないか。

ある日、フォレストピア七里の森の支配人は根本さんにそんなことを話したという。
行動派の根本さんが、それを聞いておとなしくしている訳がなく。
カフェNamakemono出張お茶サービス社など、根本さんの仲間が集い、七里の森の朝市はそれからほどなくして開催された。

城里町の根本樹弥さん。自然農法で野菜を栽培するかたわら、七里の森の朝市の企画運営にも携わっている。

「朝市を通して、キャンプ場の利用者に城里町のことを知ってもらえれば」

と根本さんは言う。

大勢の人々が夜を城里町のキャンプ場で過ごすのならば、当然朝も城里町で迎えることになる。

「朝の帰り際に、朝ごはんがあるといいなぁと。それだけではなくて、地元の特産品も一緒に置いて」

人が集まれば、そこには何かしらのニーズも生まれるはず。
そのニーズに応えながら、こちらの「知ってほしい、利用してほしい」というニーズも満たされる。

それはひょっとしたら一過性のものかもしれない。
でも、人々の心に「城里町」と町にまつわるエトセトラを、一時的にでも刻み込むことができるのは確かだろう。
そうすれば、いつか、どこかで、またキャンプ利用者と城里町が結び付くことになるかもしれない。

時代によって、人の仕事は変わっていく。
生まれるものもあれば、なくなるものもある。
それは致し方ないことかもしれないが、人々の意思と行動によって、そのままであれば「なくなってしまうもの」を、次の時代につなぐことだってできる。

「七里の森の朝市」は、そのきっかけを作っているのだ。

「これからは音楽を朝市に取り入れたいと思っています。大々的にというわけではなく、しれっとライブをやっているみたいな。BGMっぽい感じで、自然に音楽が流れているのはいいと思うんですよね」

根本さんは穏やかに、けれど力強く、これからの朝市への想いを語った。

★出張お茶サービス社を利用してみた

出張お茶サービス社の渡辺さん

古内茶庭先カフェ草っぽ農園でお会いした出張お茶サービス社さんが、七里の森の朝市にも出展していた。

この移動型お茶屋さんは、その日の体調や心境を話すと、それらに合ったお茶を処方してくれるという。

「前日に山に登ったので身体のあちこちが痛いですね」

店主の渡辺さんに、私の状態を伝えてみる。

「それと、山に登った反動で恐ろしくお腹が空いて暴飲暴食をしてしまい、下痢をしています」

ほうほう、とうなずく渡辺さん。

「ああ、それから、最近デスクワークがメインになって、腰が痛いし目も疲れ気味です」

なるほどなるほど、と私の話を聞く渡辺さんは、お医者さんみたいだ。

それならね、こんなんがいいんじゃないかしらん(実際の渡辺さんの言動とは異なります)、と言って茶葉の調合を始める。

そして、差し出されたのが、ハイビスカス、ミント、レモングラス、矢車菊、ラベンダーの入った「お茶」である。

飲んでみると、、、あ~なんか安らぐ。

終盤に差し掛かった朝市の様子を眺めながら、ベンチに座ってお茶を飲む。
こんな日曜の朝の過ごし方も、いいかもしれない。

やっぱ、朝市って素晴らしい。朝市が好きだ。
苦手な朝を克服するのは至難の業だから、昼一に開催する昼市でもやってくれないだろうか。

★七里の森の朝市で撮った写真たち

城里町は里山が多い町なので、タケノコやわらびといった山菜もあった。

城里町の高萩さんが作ったレンコンも。

Namakemonoのナイトマーケットでもお会いしたniconico食堂さん。この日もおいしい野菜のスープを販売。

城里町在住の陶芸家・岩野一弘さんの姿も。

城里町の名産・古内茶も販売。

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